今年に入ってからの値動きに戸惑っている方も多いのではないでしょうか。私の考え方を少し、お伝えしたいと思います。
「トランプラリー」から一転の下落
「私は長期ほったらかしの覚悟ある投資をしているから大丈夫!」という方は多いでしょう。でもその覚悟が試されるのはまさに今かもしれません。
株価がすぐに切り返して、緩やかにでも上がってくれれば「ほらね!」となるのですが、調子の悪い期間が3ヵ月6ヵ月と長引いたり、あんなにあった含み益がジワジワと減ってきたり、あろうことかマイナスに突入したりすると、心がザワついてきます。私、何度も何度も、何度もありました。
まず冷静に足元までの動きを見てみます。
インデックスファンドとして保有している人も多い米国株式の指数S&P500と全世界株式のオール・カントリー指数でグラフを作ってみました。
●「トランプラリー」とその後の動き

期間:2024年11月1日~2025年4月16日
S&P500とオール・カントリー指数(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)は米ドルベース。配当考慮せず。 グラフ起点を100として指数化。信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
2024年11月1日を100としたグラフにしたのは、トランプ氏の勝利が確定したのが11月5日だから。見て分かるように株式市場は意外にも「トランプ勝利」を歓迎し、S&P500は上昇しました。上位銘柄の多くが重複するオール・カントリー指数も同様です。専門家は当時、この盛り上がりを「トランプラリー」と呼んでいました。
しかし今年2月に入って以降、ご存知のように様子がおかしくなっています。このグラフの期間での最高値(さいたかね)から最安値までの下落率は18.9%です。
私たち日本人にとっては、ここに円高がダブルパンチとして効いてきます。グラフの茶色の線にあるように、年初からは円高傾向で、1月初旬の約158円から足もとでは140円台前半まで、率にして約10%の円高となりました。
この為替の動きを加味したもの、つまり「円建て」の指数の動きが下のグラフ。多くの方が買っているS&P500やオール・カントリーのインデックスファンドは、まさにこの円建ての指数に日々連動するファンドですから、これらのファンドをお持ちの方は、ほぼこの通りの動きを見てきたはずです。
●為替動向も加味した動き

期間:2024年11月1日~2025年4月16日
S&P500とオール・カントリー指数(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)は米ドルベースを日興アセットマネジメントが円換算。配当考慮せず。 グラフ起点を100として指数化。信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
先ほどのグラフと比べてみると、4月上旬の安値の位置は円高のせいでより深く、逆に年初来の高値の時には、ちょうど150円台後半の円安になっていたため、ドルベースのS&P500よりも上がっていたことも分かります。
「トランプ前」からだと約10%の下落
先ほどのグラフには2つとも、縦軸の100のところにオレンジ色の線を引いています。つまり「トランプ勝利以前」の水準の線です。
そう思ってグラフの形状を見ると、(もちろん全く嬉しくないものの)10%程度の下落に、日本人特有の「円高ダブルパンチ」が加わったのが今、と言うことができます。もちろんこのコラムを書いた翌週にどうなっているか分からないのが日々の株式市場ですが、少なくともこの期間を見る限りはそう見えます。
もう一度、円建ての方のグラフを載せておきます。

期間:2024年11月1日~2025年4月16日
S&P500とオール・カントリー指数(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)は米ドルベースを日興アセットマネジメントが円換算。配当考慮せず。グラフ起点を100として指数化。信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成。データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
株式市場に参加する人々が、11月のトランプ勝利以降「都合の良い連想ゲーム」で盛り上がってはみたものの、いざ1月に政権が発足して動き出してみると、連発される大統領令や輸入品への関税引き上げなどの政策で一転、急に熱が冷め、動揺している、といったところでしょうか。