"ホーンテッドマンション"を救った管理のプロフェッショナル
そんな時に、マンション管理士の存在を知ったのです。マンション管理士とは、管理組合の運営やマンションの管理への助言を行う専門家です。聞きかじりですが、国家資格で難易度が高く、合格率は10%くらいだとか。
そのマンション管理士の能代さんと知り合ったきっかけは、理事長として相談を持ちかけたNPO(非営利団体)からの紹介でした。
能代さんは、自宅マンションで自ら手を挙げて管理組合の理事長を長年務め、管理体制を改革した人です。初対面の時に「管理会社任せにしていたら、滞納どころか所有者不明の居室まで出てきて危うく“ホーンテッドマンション”になりそうだった」とご自身の経験をユーモアも交えながら話してくれました。
「マンション管理の主役は利害関係が直結する住人。管理会社には期待しない方がいい」という能代さんの意見には、ほかの理事や居住者の有志も賛同し、能代さんにコンサルに入ってもらうことにしました。
点検や小規模の補修、工事などを行う際も、能代さんは信頼できる業者数社から見積もりを取り、価格や内容の違いについて丁寧に説明してくれました。それにより、私たち住民はただ安いというだけではない、マンションの状況に合わせた業者を選ぶことができました。
それまでも管理会社が相見積もりを取って理事会で検討するスタイルでしたが、今思えばそれは、出入りの業者にお墨付きを与えるための“出来レース”だったような気がします。
能代さんは理事長経験が長いだけあって、上階の騒音や生協の宅配箱の置き場で住民同士がトラブルになりかけた時も、双方の住民の主張を丁寧にヒアリングし、一方だけが有利にならない形で解決を図ってくれました。