<前編のあらすじ>
定年直前に都内のマンションを購入した64歳の橋本浩さん(仮名)は、管理組合の理事長就任をきっかけに、管理会社への支払いや定期点検、修繕など、さまざまな費用が割高に設定されていることに気が付きます。
その後も管理組合に対して不信感が増す出来事が続き、「管理会社任せでなく、自分たちが動かないとダメだ」という思いを強くした橋本さんは、マンション管理士の能代さん(仮名)と出会います。
●前編:【このままだと大変なことに…マンション管理理事長就任で判明した「割高な費用」の数々、64歳男性が管理会社へ抱いた危機感】
「いい買い物」のはずが…大手管理会社へ抱いた違和感
私は転勤族だったこともあり、定年近くになってようやく自宅マンションを購入しました。3階建てで総戸数が20戸しかない小規模マンションですが、サッシや空調なども最新仕様ですこぶる快適です。最寄り駅から12~13分歩くことを除けば満足度は高く、500万円の住宅ローンも金利は今よりだいぶ低かったので、妻とも「いい買い物をしたね」と話していました。
唯一気になっていたのが管理会社のことです。マンションの販売会社は大手不動産会社で、当初からその系列会社が管理会社を務めてきました。メディアの管理会社ランキングなどでは上位の常連なので安心して任せられると思っていましたが、担当者の対応などを見ているうちに、疑問が湧いてきました。
特に昨年、管理組合の理事長に就任して帳簿なども見る立場になると、管理会社に対する支払いや、固定化した業者への定期点検代などが、マンションの規模の割には高過ぎるのではないかと感じるようになりました。
折しもマンションの管理費や修繕積立金は値上げをしたばかりなのにもう次の値上げの話が出ていました。にもかかわらず、空きだらけでうまくいっていない駐車場の運営を見直すべきだと言っても、真剣に取り合ってはくれません。
さらに、ちょうど火災保険の見直しのタイミングだったので、ネットで調べて保険料の安い保険会社を提案したのですが、「当社はその会社と代理店契約を結んでいないので、どうしてもその会社がいいということでしたら、管理組合として契約してください」とけんもほろろでした。
ちょうどその頃、理事の一人から神奈川県のタワーマンションで管理組合が住民から資産運用のプロを募って自発的に修繕積立金を運用し、相当な運用益を出したという話を聞かされ、「管理会社任せではダメだ」と思うようになりました。