来週の注目ポイント

さて、来週の注目ポイントです。いよいよ期末です。米国では4月の第1週金曜日にあたる4月4日に雇用統計が出ます。それ以外にもISMやADPといった指標が出ます。特に物価と雇用、この2つを両にらみでFRBは金融政策を検討しますから4日の雇用統計は当然一番の注目になってくると思われます。
この雇用統計結果とその後の予測については、程度問題であることやさまざまなケースも想定されるため、ここでは非常にシンプルに考えたいと思います。

図の左側は予想と比べて雇用統計が上振れたとき、つまりは結果が良かったという場合です。このときは比較的シンプルでスタグフレーション懸念は和らぐでしょう。要は関税によってインフレは心配だが、景気はそこまで悪いわけではないのでは、ということで少し安心感が出るわけです。
その場合FRBの金融政策はどうなるかというと、インフレを警戒すべき状況であり労働市場もそこまで利下げを急ぐほど悪くないのだとすれば、FRBは当面様子見だろうという見方になるでしょう。そうなれば利下げ観測は後退し、長期金利は上昇する方向に動くことになります。
政策金利がどう動きそうかは長期金利の動きに影響しますから、FRBがあまり利下げをしないのではないかという見方が強くなれば、長期金利は上昇します。
したがって為替市場ではおそらく、ドル高という反応になるでしょう。またスタグフレーション懸念が和らぐのであれば、株(米国S&P 500)はある程度上昇ということになるでしょう。
一方で予想より悪かった場合も考えてみましょう。スタグフレーションの懸念は強くなってしまいます。また、インフレが気がかりな一方で雇用の状況も悪くなるのであれば市場では、利下げ観測が台頭するでしょう。
ただインフレも警戒されることになりますから、長期金利は下がるとしても小幅ではないかと考えられます。金利がそれほど下がらなければ、ドルもそれほど下がらずおおむね横ばいと思われます。
株についてはスタグフレーション懸念が台頭することで、シンプルに少し下がってしまうような動きになるのではないでしょうか。
ただ、繰り返しになりますが、雇用統計と一口にいっても失業率と非農業部門の雇用者数、それから賃金も平均時給の伸びがどうかなど判断材料はさまざまです。たとえば失業率だけで言っても、フルタイムを希望していながらパートにしかついていない人も失業者にカウントする広義失業率(U-6)も見ないとなりません。一概にスライドのように上振れ下振れときれいに2つに分けられるわけではありません。
とはいえ、いったん頭の整理として、今のマーケットはスタグフレーションを警戒していて、雇用統計が予想より悪かった場合にはシンプルに金利が下がってくれることにはならないという可能性を意識しておく必要があるのではないかと思います。
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