第24回のマーケットトークです。

今回のテーマは次の通りです。

出所:内田氏

ドル円相場が150円台に回復しました。まずはこの背景を簡単に振り返ります。次に今マーケットが何を懸念しているかについても見ていきます。特に昨晩トランプ大統領が関税を発表した後の市場の動きが私としては非常に重要だと思っております。最後に来週のポイントを解説します。

 

過去1カ月のドル円の動きです。ご覧の通り151円台に乗せたところから3月上旬にかけて146円台までドル安円高が進みました。ただ、過去のマーケットトークでもお伝えした通り、必ずしも円が強くなっていたわけではありません。

もちろん、投機的な円買いが進んでいた部分はありましたが、いろいろな通貨ペアに対してみると円は決して強いわけではなく、どちらかと言えばドイツの財政拡張の話を受けたユーロ高ドル安が波及したという面があったと考えられます。

そして今週、ドル円は150円台を回復しました。足元では火曜日に151円手前までドル円相場はドル高円安になっており、足踏みという状況です。先ほど説明した通り、ドル円の背景にはユーロドルの動きがありました。具体的にどのような動きかについても振り返りたいと思います。

 

過去1カ月間のドイツ長期金利(赤線)とユーロドル(青線)をまとめたものです。2月23日にドイツで総選挙がありました。そこで財政拡張という話が出て、ドイツの長期金利が上昇し、ユーロ高ドル安になりました。その動きが今は少し一服して、ユーロドル相場もユーロ安ドル高方向に少し下がっているという動きが見られます。

ユーロドルはユーロが主語の通貨ペアですので、左側の縦軸、上に行けばユーロ高ドル安、下がユーロ安ドル高です。ドイツの長期金利は3%には届かずに今2.7%台まで少し下がってきているという状態です。

ただ、ドイツの財政拡張は歴史的な大転換でもあります。選挙前の水準であるユーロドル1.05割れ、長期金利2.4%という水準からはかなり高いところに位置しています。材料が完全に全部消化され尽くしたということではないと思います。ただ一旦の動きとしては収まって、ここのユーロ安ドル高、これがじわりと為替に波及した。これがまず一つ目のドル円相場150円の要因だと考えられます。

 

その証拠に、というと少し大げさかもしれませんが、気になる動きをまとめました。このグラフはドル指数(赤)ユーロドル(青)の過去1カ月の動向をまとめたものになります。

赤のユーロドルが財政拡張の話で一気にユーロ高になりました。そして今は少しユーロ安ドル高になっている、という動きをしています。対するドル指数は、ユーロと円とポンド、カナダドルとスウェーデンクローナ、スイスフラン、この6通貨に対するドルの総合的な動きを示しているものです。

ただ、ユーロドルがドル指数は通貨ごとに重みづけがなされており約58%は対ユーロでのドルの動きが反映されるようになっています。そのため、赤のドル指数と青のユーロドルは上下を鏡で映したような動きになっています。

要はユーロ安ドル高の動きによってドル指数がドル安に歯止めがかかって少し持ち直しており、これによってドル高、ドル円も150円に乗ったわけです。