ドル円相場150円台回復の要因

 

ドル円相場150円のもう一つの要因についても見ていきましょう。端的に言えば円が強いわけでは全くない、ということに尽きると思います。

グラフはポンド円、カナダドル円とスイスフラン円。これらクロス円の過去1カ月の動きをまとめたものです。赤いポンド円と、緑色のスイスフラン円は右軸で見てください。対して青色のカナダドル円は左側をみてください。ご覧になるとお分かりの通り1カ月前よりも全通貨ペア上方向、つまり他通貨高円安の全面安になっています。

カナダは関税の影響が懸念されたタイミングでカナダドル安円高方向に大きく下がりました。しかし、それでもその後の上げ幅の方が大きくなっています。スイスに至ってはスイス中央銀行が3月21日に政策金利を0.25%まで下げ、日本と同程度ないしは日本よりも金利が低い状態ですが、スイスフランもスイス高円安になっている状況です。

ですから、ドル円だけを見ていると147円を割ったときに「少し円高が怖いな」という感覚もあったと思うのですが、幅広い通貨に対して見ると、ドル以外の通貨に対して円はほとんど強くなっておらず。やっぱり弱いままという状況でした。
過去のマーケットトークで何度かご説明している通り金利からインフレ率を差し引いた実質金利が大幅なマイナス圏であるという円の最大の弱点が解消されない限り、大掛かりな円高への回帰は考えにくいのではないかと考えています。

いずれにせよ円は全く強くなっていません。たまたまドルがちょっとユーロに押されて弱くなっていたタイミングに歴史的な投機筋の円買いによって147円を割ったところがやっとだったというのが、ここ1カ月の動きだったと言えると思います。

 

こちらは先週金曜日の終わり値と3月27日16時30分時点の主要通貨の対ドル変化率を比べたものです。ドルに対して上昇したのはスウェーデンクローナとカナダドルでした。対して、ポンドよりも右側の通貨はドルに対して下落した通貨ということになります。ご覧の通りで円は一番右側に位置していますから、円が弱いということになります。

ここまでで改めて、今回の議題の一つ目である150円回復の背景要因が何だったかをまとめたいと思います。その一つ目はドイツの財政拡張による、ユーロ高の一服によってドルが持ち直したことです。もう二つ目は結局円が全く強くなかったことです。現状、当期筋の円買いも一服していると思われます。投機筋の円買いが一巡すると、やはり円はたちまちに弱くなってしまったということだと考えられます。

 

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後編:【スタグフレーション懸念再燃の兆しが見られたワケ、4月4日発表の雇用統計の注目ポイントを徹底解説】では、3月31日週の注目ポイントなどを解説していきます。

「内田稔教授のマーケットトーク」はYouTubeからもご覧いただけます。

公式チャンネルと3月27日 公開分はこちらから