株主還元は配当金が中心、配当性向30% 自社株買いは消極的
最後に株主還元を解説します。東ソーは2022年8月、公表した中期経営計画で株主還元方針へ言及しました。2025年3月期までの3カ年で、配当金は配当性向30%を目安に、自社株買いは機動的に実施するというものです。
【株主還元方針(2023年3月期~2025年3月期)】
・配当金:配当性向30%を目安
・自己株式取得:フリーキャッシュフローの水準等を勘案し機動的に実施
出所:東ソー 中期経営計画
この還元方針のうち、配当金の目標は達成される見込みです。2024年3月期までの2期は配当性向が47~50%でした。計画の最終年である今期(2025年3月期)も、利益と配当金が計画どおりなら、配当性向は50%に達します。
一方、自社株買いは計画期間中に1度も実施していません。また今期も、第3四半期末のフリーキャッシュフローは169億円の赤字(前年同四半期は350億円の黒字)であり、実施の可能性は低そうです。
東ソーは2021年3月期の実施分が同社として初の自社株買いとみられており、以降は見送っています。東ソーの株主還元は配当金を中心に行われる可能性が高いでしょう。
なお、上記の中期経営計画は今期で終了します。計画が更新されれば、株主還元方針も新しくなるかもしれません。本決算は5月中旬に公表の予定です。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)