最高益から利益半減、塩化物の市況悪化で 今期は営業益22%増の計画
次に業績を確認しましょう。東ソーの利益の変動は大きめです。
直近10期では2018年3月期と2022年3月期に利益が拡大しました。うち2022年3月期は過去最高益です。しかし翌2023年3月期に利益は半減し、直近の2024年3月期も低調です。
利益の変動はクロル・アルカリ事業に起因します。同事業の営業利益は、2017年3月期以降は比較的高い水準が続いていました。しかし2023年3月期は、原料の高騰を主因に交易条件(製品と原料の市況差。スプレッド)が悪化し、営業赤字に転落します。2024年3月期は黒字に復帰するも、回復は弱い状況です。
今期(2025年3月期)の業績予想も確認しましょう。通期では増収増益を目指します。前期比で売上高は6.4%増、営業利益は22.7%増の計画です。第3四半期までの進捗率は売上高が74.4%、営業利益が76.1%と、ほぼ順調な消化となっています。
【東ソーの業績予想(2025年3月期)】
・売上高:1兆700億円(+6.4%)
・営業利益:980億円(+22.7%)
・純利益:610億円(+6.4%)
※()は前期比
※同第3四半期時点における同社の予想
出所:東ソー 決算短信
セグメント別では、機能商品を除き通期で営業増益を見込みます。増益幅は前期比でエンジニアリングが81億円、クロル・アルカリが65億円、石油化学が40億円です。機能商品は同5億円の減益を予想します。
機能商品は前期も減益でした。主力事業の停滞を見込むなか、他の事業でカバーし、計画の達成を目指します。