しかし円高はそれほど長く続かず

一方、実際には、こうした円高の動きはそれほど長く続きませんでした。

 

こちらは「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数の過去1カ月間の動きをまとめたものです。1月下旬に大きく上がっている箇所はDeepSeekショックが起こったときです。2月にかけての上昇はトランプ政権の関税の発動が影響しています。市場は非常にリスク回避的になりました。

ですが、トランプ大統領が相互課税の実施を先送りにすると表明したことやロシアとウクライナで停戦に向けた動きが少し出始めたことなどもあり、VIX指数は低下傾向をたどっています。

停戦交渉はウクライナを飛ばして米国とロシアの間で行われていることから、EU諸国は強く反発しています。今後どうなるかもわかりませんが、緊張緩和には一定の役割を果たしたと考えられます。

その結果、今週は最終的にリスク回避姿勢が和らぎ、円の買戻し圧力も後退するという動きで着地したようです。

 

実際に2月7日の終値と2月14日、米国小売物価発表から15分後に発表された終値から主要通貨のドルに対する変化率をパーセンテージで見てみます。

すると円は一番弱くなっています。一時、円は非常に強かったですが、1週間終わってみれば、円は非常に弱くなっていました。また、ドルも決して強かったわけではありません。

ちなみに、欧州通貨はいずれも強含みになっています。考えられるのがロシアとウクライナの停戦への期待です。特にロシアと地理的に非常に近いスウェーデンクローナは2%近く上昇しています。