<前編のあらすじ>
33歳になる瑠美は、次々と結婚する友人や後輩たちに追い付くべく、婚活に明け暮れていた。しかし、瑠美には本人には自覚のない悪癖があった。
それは男を値踏みすることである。
30歳と年下で話の合う男と出会っても、瑠美は割り勘にされただけで「-50点」と得点を付け、一人落胆してしまうのだ。果たして瑠美の婚活の行方は。
前編:「割り勘、-50点」「安いワイン…不合格」わが身をかえりみず男に点数をつけまくるアラサー女子。その婚活の行方は
❝運命”の相手が
そんな瑠美にも、再び運命の相手と思える男性が現れた。
名前は新井春輝、29歳、毛穴一つ見えない美肌と柔らかな物腰が印象的で、世界進出したアイドルグループの一員に似ている春輝は、瑠美の理想そのものだった。
うっかりすると思わず見とれてしまうほどの美貌。大学時代に起業した会社を経営していることもあり、経済力は申し分なく、身につけているものすべてがブランド品であることも確認済みだ。
彼と一緒にいると、自分がドラマの主人公になったような錯覚に陥った。それだけではなく、好きな音楽や食べ物などの趣味も合い、会話も楽しい。初対面にも関わらず、2人の距離はあっという間に縮まった。
気になっていたお会計も、瑠美がお手洗いに立ったタイミングだったこともあり、春輝がすべて済ませておいてくれた。もちろん、誰かのように割り勘を要求することもなかった。100点満点だ。「ほらね」と瑠美は心の中で思っていた。自分は奢ってもらえる10パーセントに入るに値するランクなのだ。
2回目のデートの夜、都内のオシャレなイタリアンレストランでワインを飲みながら、瑠美はすっかり気分をよくしていた。
「お兄様はアメリカにいらっしゃるんですか! でもそのお兄様だっていずれはご両親と同居されるんでしょう?」
「さあ……。そういうもんですかね?」
「一般的にはそうだと思うけど」
ニコニコしているこの美しい男が次男であり、義両親の老後の面倒ごとに関わらなくて済むことも、瑠美には運命のように思えて仕方なかった。