S&P500ではなくNASDAQ100、FANG+はアリか?

では、一定の投資経験と相応のリスク許容度があるということを前提とした場合、S&P500から前述のナスダック100やFANG+のように、投資対象を絞った米国株ファンドにシフトしても良いのだろうか。筆者は「長期目線の積立投資ならアリ」と答えている。

既に広く知られているように、S&P500指数に占める上位銘柄の集中度合いは年々高まっており、指数内の分散が効きにくくなっている。その意味では、銘柄数を絞り、投資対象の解像度を上げた方が、リスクの所在は分かりやすい。積立を実践し、時間分散でファンド全体の価格変動リスクをならせば良い。ちなみに、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、つみたて投資枠の対象になっている。

2025年の注目米国株ファンド

「FANG+」のヒットを受け、2024年には、既存の米国株式インデックスにひと工夫を加えた商品が続々と登場した。いずれも新NISAの適格商品で、成長投資枠で購入が可能だ。

※楽天証券経済研究所作成。データは全て2024年末時点。
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S&P500指数やナスダック100など、1つの指数に絞れないという人におすすめなのが、「米国株式これ1本(S&P500・NYダウ・ナスダック100)」だ。当ファンドは、「これ1本」というファンド名の通り、「S&P500指数」、「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」、「ナスダック100指数」への連動を目指すETFに投資し、毎月、市場環境に応じて各指数への投資配分を調整する。

FANG+のような、投資対象を絞った指数で、追加的な収益を追求したいという人には、「一歩先いく US テック・トップ20インデックス」と「Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)」をおすすめしたい。「一歩先いく」は、米国を代表するテクノロジー関連企業20銘柄に投資を行う。「Tracers S&P500トップ10」は、S&P500指数の構成銘柄のうち、時価総額上位10社の株式で構成される。

先述した、S&P500指数の上位銘柄の集中度合いが気になるなら、「インベスコ S&P 500イコール・ウェイト・ファンド」を選択肢に入れても良いだろう。当ファンドは、S&P500指数の全銘柄に均等投資を行うことで、特定の銘柄だけが指数全体への影響を高めることを回避する点に特徴がある。

また、既にS&P500のインデックスファンドを保有、または積み立てているなら、「Tracers S&P1000インデックス(米国中小型株式)」を追加しても良い。当ファンドが連動を目指す「S&P1000指数」は、米国の中小型株式市場の動きを捉えた指数で、中型株式400銘柄と小型株式600銘柄を合わせた1000銘柄で構成されている。

以上の通り、一口に米国株と言っても、投資先の選択肢は増えている。本連載でも度々お伝えしている通り、S&P500や「オールカントリー」のように広域の市場を網羅したインデックスファンドは、万人に合う「白いTシャツ」のような商品である。投資経験やリスク許容度に合わせてポートフォリオを少しずつカスタマイズしていくのも、非課税枠と商品の選択肢が広がった新NISAならではの活用方法と言えよう。