確定拠出年金の制度改正のポイント

令和7年度の税制改正においては、会社員の確定拠出年金については下記の拡充策が示されています。これらが今年の通常国会で可決すれば、1年くらい後には施行されるのではないかと思われます。

①iDeCoの掛金限度額の引上げ

現在、企業年金に加入している会社員の場合、月55,000円から事業主の拠出額を差し引いた額か、月20,000円のどちらか低い方がiDeCoの拠出限度額と定められています。改正案では、この月55,000円が月62,000円に引き上げられた上で、月20,000円の上限を撤廃するとされています。

よって、企業年金に加入している会社員であれば、企業年金とiDeCoの掛金を合計して月62,000円まで、企業年金に加入していない会社員であれば、iDeCoを月62,000円まで拠出できるようになります。

②企業型DCのマッチング拠出限度額の引上げ

確定拠出年金のマッチング拠出とは、企業型DCにおいて加入者(会社員)が掛金を拠出できる制度です。現在、企業型DCのマッチング拠出の限度額は、事業主掛金額か55,000円の2分の1以下のどちらか低い方までとされています。改正案では、この月55,000円が月62,000円に引き上げられた上で、事業主掛金額と2分の1以下という上限が撤廃されますので、例えば事業主掛金額が10,000円だとすると、加入者は52,000円までマッチング拠出できるようになります。

③iDeCoの加入年齢の引上げ

現在、iDeCoは国民年金の加入者でないと拠出することができない仕組みになっており、自営業者などの第1号被保険者や専業主婦(夫)などの第3号被保険者は60歳になるまで、厚生年金保険に加入している会社員や公務員、60歳以上65歳未満の任意加入被保険者であれば65歳になるまで拠出できることになっています。改正案では、誰でも70歳になるまでiDeCoの掛金を拠出できるようになりますので、60歳代後半で働いている方も、掛金を拠出して年金額を増やすことができるようになります。

いかがだったでしょうか?

わが国の公的年金(国民年金、厚生年金保険)は世代間扶養の賦課方式で設計されており、水準固定方式といって保険料を上げない代わりに年金額の水準を抑える仕組みとなっています。今後も広く国民が支え合う制度として維持できるように改正されていくでしょう。

筆者は、積立方式である確定拠出年金制度を上手く活用して、老後資金の準備に役立てて頂きたいと考えています。

(執筆 : 花村 泰廣)