トランプ関税ショック──短期的な株価の妥当性は誰にも判断できない
2025年4月7日から11日にかけての株式市場は、米国トランプ政権による関税政策の急転換を受けて激しく動揺した。4月7日の日経平均株価は前日比約8%下落したが、その数日後の10日には前日比約9%上昇するなど、極めて不安定な動きを見せた。このような株価の乱高下から、二つの重要な教訓を得ることができる。
一つは、短期的な株価の妥当性は誰にも正確に判断できないという事実である。大きく下落した株価が妥当な水準なのか、さらなる下落が必要なのか、あるいは既に安すぎるのか、それを判断することは不可能であろう。翌日には新たなニュースが飛び込み、市場のセンチメントが一変する可能性もある。
もう一つは、株式のみに集中して長期投資を続ければ、必ず大きな損失を経験する局面が訪れるということである。その際、投資家は心理的にも大きな負担を強いられることになる。
筆者は前回の記事「下げ相場」に動揺している投資家が“知っている”けれど「実践していない」、投資の普遍の原則とは?」でも述べた通り、S&P500が過去に大きく下落した局面では、元の水準に戻るまで5~7年の期間を要した事例を紹介した。