損失が続く局面で求められる積立投資家のマインドセット
積立投資を続ける投資家は、下落局面では過去に積み上げた投資分が長期間にわたり含み損となり、投資する度に損失が膨らむように感じる状況に直面する可能性がある。
ここで重要になるのは、「今回は前回より安く買える」といった視点の転換だ。長期積立投資の基本的な仕組みは、価格が低い時に多くの口数を購入することで、将来的な市場回復時に大きな利益を得るというシンプルなメカニズムである。
長期積立投資を継続するには、損失が続く期間も淡々と投資を続けられるマインドセットが必要である。
資産クラスの分散は不可欠
しかし、精神的負担が重く、こうしたマインドセットを維持することが容易ではない人もいるだろう。また、特に投資経験が浅い人にとっては、市場回復を待つ余裕がないこともある。そのため、資産運用の先進国では株式や債券に加えて、プライベートアセット(非公開資産)を含めた資産クラスへの分散が一般的となっている。前回の記事でも紹介した、世界的運用会社ブラックロックCEOのラリー・フィンク氏が提唱する「50:30:20ポートフォリオ」はその一例である。
従来の60%株式・40%債券という資産配分はもはや機能しにくくなっていると指摘し、プライベート資産を組み入れる新たな資産配分を最新の年次書簡で提唱している。具体的には、株式50%、債券30%、プライベートアセット20%という配分である。
※プライベートアセット…不動産、インフラ、プライベートクレジット等