三菱UFJ銀行の投信売れ筋ランキングの2025年3月は、前月と同様に「eMAXIS 日経225インデックス」がトップ、第2位が「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」だった。第3位には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が第4位から浮上し、第4位には「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース」が入り、前月第3位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は第5位に後退した。

◆「トランプ・ショック」で投資先に迷い?
三菱UFJ銀行の売れ筋ランキングで「eMAXIS 日経225インデックス」はトップを維持したものの、「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は第3位から第5位に、「三菱UFJ インデックス225オープン」は第5位から第6位に順位を下げた。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が第4位から第3位に順位を上げた動きとは逆の動きになっている。米国株に対して国内株の弱さが感じられる。国内株の弱さ(市場環境が悪くなると下落しやすくなるという信頼感の薄さ)は、やはり1989年のバブル期の高値を34年間も更新できなかったという長期低迷の記憶が焼き付いているためだろう。「リーマン・ショック」などの大きな株価下落を経験しても数年で最高値を更新し続けた米国株との比較では、どうしても国内株の弱さが浮かび上がってしまう。
ただ、国内株が高値奪還まで34年以上を要したということは、米国株にも起こり得ることを忘れてはならない。また、2023年から2024年に起こった「マグニフィセント・セブン」と言われる超大型ハイテク株への物色の集中に、1990年代後半の「ITバブル」を想起する市場関係者も少なくない。「ITバブル」の後にやってきたのは「リーマン・ショック」だったが、それが、「トランプ・ショック」になるかもしれない。国内株と比較して米国株の方が投資対象として魅力的だと断言できるものではない。その辺の迷いが感じられる売れ筋ランキングにみえる。
その点では、「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」が第2位に入っているのは、将来の不確実性に備えた動きといえる。同ファンドは内外株式(国内、先進国、新興国)、内外債券(国内債券、米国国債、米国投資適格債、米国ハイイールド債券、欧州国債、新興国債券)、内外リート(国内リート、先進国リート)等に分散投資し、設定した「目標リスク水準」に応じて機動的にポートフォリオの構成を変更する運用を行う。「標準型」の目標リスク水準は年率10%程度。「積極型」は年率14.0%程度になっている。1つの資産に集中することなく幅広く収益機会を求めているファンドが売れ筋トップ10にしっかり残り続けている点に、リスク管理に関する考えの浸透がうかがえる。