三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投信売れ筋ランキングで2025年3月のトップ3は前月と同様に、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」、「eMAXIS 日経225インデックス」、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」となった。第4位に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が浮上し、第5位は前月同様に「三菱UFJ インデックス225オープン」だった。
◆トップ独走の「フィデリティ・グロース・オポチュニティ」の魅力
売れ筋ランキングでトップに位置する「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」は、日本を除く世界の上場企業の中から、「真の成長機会を発掘する」という考えのもとで、フィデリティの伝統的なボトム・アップ・リサーチの活動を通じて、中小型株式にも積極的に投資する姿勢を持つ。「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース」のトータルリターンは2025年2月末時点の過去1年間で20.4%であり、これは同期間の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の16.1%を上回っている。また、2月末時点のポートフォリオ(97銘柄)のEPS成長率(12カ月先予想)は21.6%で「S&P500」の14.0%を大幅に上回っている。成長性についてきめ細かくチェックして粒よりの銘柄でポートフォリオを構築していることがわかる。
「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース」は今回の下落局面での底堅さにも力を発揮している。2015年1月末から、トランプ関税の発表によって急落した後の4月8日までの下落率(分配金再投資)は16.99%だったが、同時期の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の下落率は20.03%に達している。過去1年間の上昇率でも上回り、今年の大きな下落局面での下落率も抑えられた水準にある。市場全体が弱気になっている時には、どのようなファンドであっても市場全体の下落を受け止めて価格が下がってしてしまうが、いったん、市場が落ち着いて回復に転じる場面では、やはり内容の良い銘柄群から株価の戻りが早いと考えられる。
まして、今回の下落は、「関税政策」に伴う貿易の混乱が懸念されての下落だ。個々の企業において、関税策の影響が業績にどのように及ぶのか、個別具体的に調査・分析し、業績へのインパクトを計算する必要がある。「S&P500」に採用されている時価総額の大きな500銘柄には、関税の増額分を製品価格に上乗せできない企業も含まれ、業績が下押すこともあるだろう。調査を主体としたアクティブファンドの場合は、個々の企業の実態を調べて、業績が悪化すると予測される場合はポートフォリオの組み入れ比率を落としたり、除外することもできる。市場の混乱期にこそ、アクティブファンドの真の価値が表面化する局面といえるだろう。