◆最高値更新まで34年間を要した「日経225」
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投信売れ筋ランキングのトップ5の中に、国内株価指数「日経225」に連動するインデックスファンドが2本もランクインしている。株価が下落する2月、3月と2カ月連続でトップ5を維持していることから、相当に強固な意志で購入されているものと想像できる。ただ、米国「S&P500」と比較しても「日経225」の動きは弱い。中長期に投資をする対象としては良い選択肢とはいいがたいところがある。もちろん、逆説的には大きく価格がブレるからこそ、反転・上昇に転じた時には大きな上昇が期待できるという見方もできるのだが、下落時にかぶるデメリットをカバーできるかどうかはよくわからない。
「日経225」と「S&P500」を比較すると、「日経225」が史上最高値を更新したのは2024年2月で、1989年12月に付けた最高値を34年ぶりに更新した。34年間も高値を更新できないというのは、資産形成の手段としてははなはだ心もとない投資対象だ。一方、「S&P500」は数年ごとに史上最高値を更新している。年末の株価だけをみると2008年のリーマンショックによる暴落前の高値を更新するのに6年しか要していない。近年では1年、2年と高値を更新できない年もあるが、ほぼ2年~3年のスパンで最高値を更新し続けている。中長期投資の対象として「日経225」と「S&P500」を比べれば、圧倒的に優れているのは「S&P500」といえる。
それでも国内株の投資対象として「日経225」が選ばれているのは、米国における「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」のような存在が、国内株式のアクティブファンドで存在しないということがあるのだろう。
たとえば、追加型国内株ファンドで純資産残高が1000億円を超えるファンドで10年以上の運用期間があり、国内株に分類されるファンドの平均を超える運用成績を残しているファンドを探すと「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」、「SMBCファンドラップ・日本バリュー株(SMBCファンドラップ・シリーズ)」、「ダイワファンドラップ日本株式セレクト(ダイワファンドラップ セレクト・シリーズ)」、「国内株式SMTBセレクション(SMA専用)」、「日本好配当株投信」、「日本好配当リバランスオープン」、「ノムラ・ジャパン・オープン」など限られたファンドしかなく、ファンドラップ専用ファンドなどが多くなってしまう。国内株式を対象として長期でインデックスを上回る運用成績を残せるアクティブファンドが待ち望まれている。
執筆/ライター・記者 徳永 浩