SBI証券の投信売れ筋ランキングの2025年3月のトップ3は前月と同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の順だった。第4位には前月の第5位から「iFreeNEXT FANG+インデックス」が浮上し、前月は第4位だった「SBI 日本株4.3ブル」は第5位に後退した。前月に第9位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」がトップ10圏外に落ちるなど日本株ファンドの後退が目立つ。また、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」がトップ10圏外から第9位にジャンプアップした。
◆下落すると買い人気が復調する米国株
3月は2月に続いて米国と日本の株価が下落し、その弱気相場が欧州にも波及してしまった。3月の市場を弱気にさせていたのは、トランプ大統領が矢継ぎ早に打ち出している「関税」で、鉄鋼・アルミニウムに続いて、すべての輸入自動車に25%の関税を上乗せ、さらに、4月2日を「解放の日」として、大々的な関税政策を発表するとしていたことが原因だ。実際、4月2日には、すべての国に10%の関税を課し、日本には「相互関税」として24%の関税を課すことを明らかにしている(4月2日現在)。
これらの政策がいつまで続くのか、各国との交渉によって縮小・撤回が可能なのかなど、先行きが見通せない。ただ、関税策によって米国のインフレ懸念が再燃し、FRBの利下げ計画が先送り、さらに景気の落ち込み懸念から米国は「不景気のインフレ」であるスタグフレーションに陥る可能性が言われるようになってきている。株価がなかなか復調しない大きな背景だ。
3月の株価の動きは、米国「S&P500」が5.75%安、「NASDAQ総合」は8.21%安となり、2024年12月末比で10.42%安の水準に下落した。2月まで高値を続けていた欧州株も英「FTSE100」が2.58%安、独「DAX」は1.72%安と反落した。それでも欧州株は昨年12月末比では「FTSE100」がプラス5.01%、「DAX」はプラス11.32%とプラス圏を維持し、マイナスになった米国株との違いが際立っている。これに対して、国内株式は「日経225」は3月に4.14%安だったのが、昨年12月末比では10.72%安と米「NASDAQ総合」よりも年初来の下落率が大きくなっている。
そして、3月のSBI証券の売れ筋をみる限りにおいて米国株式には価格が下落したことで反発を期待した買いが入っているようだ。2月には売れ筋ランキングで順位を落とした「iFreeNEXT FANG+インデックス」が順位を上げているところなどに、米国株式市場への強気の見方が残っていることを感じさせる。これと比較すると国内株式は腰が入っていない。2月こそ出遅れ狙いとみられる資金流入があったものが、3月はすっかり下火になってしまった。