◆「S&P500」「オルカン」を追う2強アクティブファンド

「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は、公募投信全体では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のインデックスファンド2強に対するアクティブファンド2強を「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月・Hなし・予想分配」とともに形作る存在で、新NISA後の4大人気銘柄の一角と言ってよい存在だ。しかし、毎月決算型で新NISAの対象商品ではないこと、また、分配頻度の高いファンドは資産形成には不向きとされるところから、若年層の利用が多いと考えられるネット証券での売れ筋にはなじまないところがあった。実際に、SBI証券の売れ筋では低コストのインデックスファンドが上位を独占するようなことが続いていた。

しかし、3月になって「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」が浮上し、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月・Hなし・予想分配」とともに、SBI証券の売れ筋トップ10にランクインしていることは、注目すべき変化だろうと考えられる。ひとつには、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」や「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月・Hなし・予想分配」は、トップ10に入らない間でも、トップ10に近い売れ筋上位ファンドではあったということだ。ネット証券が高齢者を含めて多くの世代に利用されているとともに、合理的な判断をしがちなネット証券ユーザーの間でも「毎月決算型」は一定のニーズがあるということだ。

また、厳選投資型のアクティブファンドにニーズが高まっているのは、やはり、市場全体の将来不安があるのだろう。500銘柄に投資する「S&P500」や約2600銘柄に投資する「全世界株式(オール・カントリー)」に組み入れられた銘柄の多くが利益成長するような容易な経済環境ではなくなってきたということだ。アナリストが分析した結果、成長が持続すると確信を持てた数十銘柄に絞って投資するアクティブファンドの方が、悪い経済環境下でも良い業績を続けられるだろうという安心感がある。また、毎月決算という短期の配分を求める仕組みが好感されるのも、先々の経済環境が読みにくいために、得られた収益をすぐに回収したいという、“長期の投資成果を待っていられない”投資家の心理を表しているようだ。

執筆/ライター・記者 徳永 浩