福岡銀行の売れ筋(店頭販売件数ランキング)の2025年2月のトップ3は前月と同じで「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」、「米国NASDAQオープンBコース」、「netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(為替ヘッジなし)」だった。第4位に前月のトップ10圏外から「ストックインデックスファンド225」がジャンプアップし、第6位には前月第8位の「スパークス・新・国際優良日本株ファンド『愛称:厳選投資』」がランクアップするなど、国内株ファンドへの注目度が増している。

 

◆福岡銀行では米ハイテク株アクティブファンドが上位独占

福岡銀行の売れ筋トップ3からは、引き続き米国ハイテク株への期待がうかがえる。米国株式市場は2025年2月を高値に下落しているが、この下落の大きな要因がハイテク株の下落だった。米国株価は3月になって、「S&P500」が高値からの下落率10%を超え「調整局面」に入った。そして、ハイテク株の比率が高い「NASDAQ総合」の下落率は14%を超え、「弱気相場」入りの目安とされる下落率20%に近づいている。このため、かねてよりハイテク株には割高の指摘が強かっただけに、市場の流れが大きく変わるきっかけになるかもしれないという見方も出ている。

トップの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」は米国の成長株に投資するファンドで、米国市場で代表的な成長株セクターであるハイテク株は外せない。2025年2月末時点での組み入れ上位銘柄は、「アマゾン」「メタ・プラットフォームズ」「エヌビディア」「マイクロソフト」「VISA」となり、上位には大型ハイテク株が並ぶ。同ファンドの特徴は、「S&P500」でも「NASDAQ100」でも指数構成銘柄でトップの組み入れ比率になる「アップル」がトップ10に入っていないことだ。組み入れ銘柄数は50銘柄と「S&P500」の10分の1に絞り込んでいる。

第2位の「米国NASDAQオープンBコース」は、NASDAQ市場に上場している銘柄の中から、「成長性」「収益性」「安定性」を総合的に勘案して選択した銘柄に投資している。2025年2月末時点で組み入れ銘柄数は32銘柄だ。組み入れ上位は「アップル」「エヌビディア」「マイクロソフト」「アマゾン」「ブロードコム」で、上位5銘柄は「NASDAQ100」と同じだが、第6位に「NASDAQ100」では「メタ・プラットフォームズ」が入るところ、同ファンドでは「ゼットスケーラー」という世界最大規模のクラウドセキュリティー会社が入っている。さらに、「メタ」と「テスラ」は組み入れ銘柄のトップ10には入っていない。

第3位の「netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(為替ヘッジなし)」は、ネット時代に勝ち残るテクノロジー企業に投資するファンドで、ハイテク株が中核だ。2025年2月末時点で組み入れ銘柄数は31銘柄、組み入れ上位は「アップル」「マイクロソフト」「エヌビディア」「メタ・プラットフォームズ」「アマゾン」など「NASDAQ100」の上位と変わらない。しかし、同ファンドのトップ10からは「NASDAQ100」のトップ10に入っている「コストコ」「テスラ」「ネットフリックス」が抜けている。

この3銘柄は、いずれもアクティブファンドで、それぞれの調査分析結果によって代表的なインデックスとは異なるポートフォリオを組んでいる。パフォーマンスを比較すると「S&P500」に対して2025年2月末時点で、過去3年間、過去5年間のパフォーマンスで勝っているのは「米国NASDAQオープンBコース」のみ。「netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(為替ヘッジなし)」はおおむね「S&P500」と同じ水準といえる。ただ、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」は明らかに負けている。しかし、投資家は、より中長期的な目線でアライアンス・バーンスタインの目利きに期待しているのだろう。

今後の米国株式市場の動きは予測が難しいが、米国のハイテク企業は世界のハイテク産業のリーダー的な役割を担っていることは事実だろう。今後、米国経済が底入れ反転に向かう時に市場をけん引する役割を担うのもまた、米国ハイテク株になるだろうことは容易に想像できる。現在のところ、米国景気が減速するとしても軽微なものという見方にのっとって現在の売れ筋ランキングができていると考えられる。その動向に変化があらわれるかどうか、3月以降に注目したい。