2024年12月に公務員やDB(確定給付企業年金)等の企業年金制度のある企業の従業員のiDeCo(個人型確定拠出年金)の改正が行われ、掛金額の上限が月1.2万円から月2万円に引き上げられました。今回は、今後も拡充が予想されるiDeCoについて解説します。

「新iDeCo」ブーム到来なるか?

確定拠出年金の加入者は、企業型DC(企業型確定拠出年金)が830万人(2024年3月末時点、運営管理機関連絡協議会)、iDeCoが344万人(2024年9月末時点、国民年金基金連合会)となっています。確定拠出年金の加入者(掛金を拠出している人)に運用指図者(新たな掛金を拠出せず、保有資産の運用をしている人)を加えた推移が下記グラフとなり、2024年3月末時点、単純合計で1,288万人に達しています。(重複加入を含む)

しかし、NISAが2,427万口座(2024年6月末時点、金融庁)であることを考えると、確定拠出年金の普及率は低く、とりわけiDeCoの普及には、まだまだ「伸びしろ」があると言えるのではないでしょうか。

【確定拠出年金の加入者数】

 
(出所)確定拠出年金統計資料(運営管理機関連絡協議会)よりアセットマネジメントOne作成
 

わが国の確定拠出年金制度は2001年にスタートしています。

確定拠出年金法の第1条には「公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する」とあり、賦課方式の公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)では老後の生活費として足りない部分を積立方式の私的年金(DC等)で準備をして欲しいというメッセージなのです。

確定拠出年金の開始時から企業型と個人型がありましたが、個人型は加入できる対象範囲が狭かったということもあり、あまり注目されていませんでした。しかし、2016年にiDeCo(イデコ)というニックネームを付け、2017年に対象を拡大した頃から、2014年にスタートしたNISAとともに、個人の非課税投資が可能な制度として広まっていくことになりました。

確定拠出年金の制度はこれまでも改正が重ねられていて、2024年12月には下表のように他制度加入者や公務員のiDeCoの拠出限度額が月額2万円に引き上げられました。2025年に更なる拠出限度額の引き上げや加入者期間の延長が行われる可能性もあり、2025年は「新iDeCo」ブームが到来するかもしれないと筆者は考えています。

【iDeCoの拠出限度額 】(2024年12月~、赤字部分が改正点)

 

※1:国民年金基金の掛金、付加保険料との合算。
※2:「月額 5.5万円 ー 企業型DCの掛金額、他制度掛金相当額、共済掛金相当額」との少ない方の額。
※3:マッチング拠出を行っていないこと、各月拠出であること。

(出所)厚生労働省の資料などをもとにアセットマネジメントOne作成