韓国での戒厳令や弾劾、フランスの内閣不信任、シリアのアサド政権崩壊など、最近海外ではいろいろなことが起こっています。国際政治が不穏なので、特定の国の通貨危機には注意が必要です。世界的に与党が不安定な政権運営をする国がとても多くなっており、政治の変化は経済の変化を生むので、投資対象国も選別が必要な状況です。ではどのようなことに注意すべきなのか、解説していきます。
インフレによる生活コストの上昇や親米・親中路線が投資に与える影響
選挙イヤーと呼ばれた今年は世界90ヵ国以上で主要な選挙が実施されました。結果はほとんどの国で与党が敗北して野党が勝利しました。代表例は日本、米国、フランス、英国、韓国、インドです。
国政選挙ですから国によってさまざまな事情があります。しかし、共通する原因は高いインフレです。特に食料品、電気代など公共料金が大幅に上がったことで、庶民の生活コストが大幅に上昇しました。これに対する不満の表明が与党敗北の主因だったと見られます。
今後、食料品や電気代が値下がりする見込みはほぼありません。生活コストが高止まりする可能性が高いのです。庶民の不満は解消するどころか逆に高まり、より政治が不安定化するリスクがあります。
インフレに対する各国の政策対応は分かれます。財政赤字を容認して庶民生活を支援するための減税や補助金を支出する国では政治はまだ安定しています。代表例は米国です。逆に財政赤字削減のために増税するような国では政治が不安定化します。代表例は英国、フランス、ドイツです。
また、特に新興国の中には、国内政治が不安定化する背景に米中の対立が影響する場合もあります。それは、親米路線の政党と親中路線の政党が対立する場合です。こうなると政治が流動化して経済が大幅に悪化するリスクがあります。2025年1月には米国でトランプ大統領が就任します。米中の対立が先鋭化し、その余波で政治が不安定化する国がありそうなことには注意が必要です。
国によって政治と経済の状況が大きく異なると、投資においても選別が必要になります。悪い国は避けて良い国に集中するのが得策なのです。実はこの傾向は数年前からありました。例えば、新興国のインデックスなど株価指数への投資は、成績の良いインドと悪い中国が一体となり、総合すると冴えない運用成績でした。こうした傾向がより強まる可能性があります。投資においては国際政治をウォッチすることも重要なのです。
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