訴訟合戦で泥沼化する可能性のあった米国大統領選挙ですが、ふたを開けてみればあっさりとトランプ候補に決まりました。結果、株価上昇、ドル高円安など、米国にとって良い兆しが強く出ています。しかし、公約には関税引き上げなど世界経済を下押しする要因も多く、懸念もあります。そこで今回は、第二次トランプ政権が世界に与える影響について解説していきます。

 

トランプ大統領を冠する「覇権国米国」の政策、世界経済への影響は?

11月5日に米国で大統領議会選挙が実施されました。大統領は共和党のトランプ候補、上院は共和党の過半数以上が確定しました。下院でも共和党が優勢です。トランプ候補は得票率でも50%を超える見込みで、激戦とされる7つの州すべてを制しました。全般的に保守政党である共和党の優位が示されました。

これを受けて金融市場は、共和党の公約が実現する可能性が高まったことからすぐに反応しました。まず株高です。トランプ氏の公約は景気を強く刺激する項目が多いことから、景気拡大への期待が強まりました。法人税率は21%から15%に引き下げることを公約としています。法人税減税は直接的に株価を押し上げます。同じ企業での税率の違いで増益になるからです。この減税で企業収益は約8%の増益になると見込まれます。言い換えると株価を8%押し上げる要因になり得るのです。次に金利が上昇しました。減税の規模が大きく、景気拡大への期待が強まったからです。さらにドル高です。米国経済が強い、そして金利の上昇となれば米国に資金が流入しやすくなります。これを見越してドル高となりました。

経済的には規制緩和への期待も強くあります。しかも、電気自動車(EV)で有名なテスラ創業者のイーロン・マスク氏が新たに設置する政府組織のトップに就任して陣頭指揮する見込みです。

ただし、良いことばかりではありません。懸念も多くあるのです。最も懸念されているのは公約である関税の引き上げです。これは米国への輸出国の経済に打撃を与え、米国の物価を押し上げるリスクがあります。また、米国社会の分断が一段と深刻化するリスク、中東での戦闘が激化するリスク、不法移民を送還することで国際的な摩擦が高まるリスク、などもあります。

覇権国米国との関係は日本の国益に直結します。石破総理がトランプ大統領と良好な関係を築くことを期待したいですね。

 

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