衆議院の解散総選挙と日本の景気や株価の関係性をご存知でしょうか? 政治が安定すれば経済成長にプラスなので、株価を押し上げる要因のひとつと言われています。しかし、今回の選挙では自公連立政権が過半数を割りました。そのため、政治が不安定化するリスクが考えられますが、逆に緊張感から政策が改善されて日本経済が良くなる可能性も出てきました。今回は、解散総選挙と日本経済の関わりについて解説します。

 

政治とカネ問題に決着後、本格的な政策実現へ

解散総選挙は時の総理が選挙で勝てるタイミングで仕掛けるものです。従って総じて与党に有利で結果的に政権運営が安定して日本経済にはプラスになりやすいと見られています。

しかし今年は違いました。選挙前から与党の苦戦が伝えられていました。選挙後に政治が不安定化する懸念から株価はやや大きく下がりました。結果的には自民党は単独過半数割れ、自公連立与党でも過半数を割り込みました。これは事前の予想より悪い結果でした。

それでも株価は選挙後にやや戻りました。背景には自公連立政権の時代より政策が改善されて景気が良くなる一途の望みがつながったからです。

政権を運営するには国会で法案を通さなければなりません。そのために自公連立政権は国民民主党に協力を仰ぐ方針を示し、国民民主党も選挙公約が実現するのなら協力する意向を示しました。

昔の与野党対立は「何も決まらない政治」とやゆされ、政治の空転を意味しました。しかし今の野党は違います。選挙公約の政策が実現するなら協力するのです。そこで国民民主党の政策をよくよく吟味すると、日本経済を活性化させる市場に優しい政策が結構あるのです。株式市場はここを高く評価しました。

今後の自公政権は、まずは野党の要求を飲んで政治とカネの問題に決着をつけると見られます。次に補正予算でガス代、電気代、ガソリン代補助を打ち出す方針です。そして、国民民主党が主張する「手取りを増やす」政策を実現すると見られます。特に「年収の壁」は実態として自公政権では解決できなかった日本経済を押し下げる構造問題でした。政策協議の過程は自公にとっては常に内閣不信任と背中合わせの厳しい政権運営になると見られています。逆にこの緊張感が良い方向に作用するかもしれません。自公の譲歩が野党の協力を引き出して日本経済を活性化する政策が前進するかどうか、ここが最大の焦点となっています。

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