石破総理誕生で、経済政策を巡る思惑から株式市場も為替市場も乱高下しました。これは、市場の予想が外れたからで、よくあることではありません。自民党総裁選挙が混戦で、予想が難しかったことがうかがえます。

今回は、新総理決定後の情勢について解説します。

 

石破総裁決定直後の株価急落&円高、その理由は?

自民党総裁は事実上、次の総理になります。自民党総裁が決まる少し前の数日間で日経平均株価は約2千円も上がりました。為替市場では円安が進み142円台から145円台へと3円も円安になりました。この背景には、安倍政権時代の経済政策であるアベノミクスの継承を主張する総裁誕生への期待がありました。金融引き締めに慎重で、増税など財政再建にも慎重なら、株高と円安になると期待されたのです。

しかし、新総理は石破氏になりました。石破総裁が決定した途端に株高と円安は逆回転し始めました。株価は急落、円相場は円高となり、市場では石破ショックと呼ばれました。

石破ショックの背景は過去の石破総裁の発言です。金融引き締めの継続に積極的で、法人増税や金融所得増税に積極的な発言をしていたことから、景気回復の腰を折るのではないかと懸念されました。

株価急落には時の政権に政策の修正を催促する効果があります。実は岸田前総理誕生の時も同じような状況でした。2021年10月に誕生した岸田前総理は、当初は金融所得増税に前向きな意向を示していました。市場は特にここを不安視して、日経平均株価は5日連続で約2千円、6%も急落して岸田ショックと呼ばれました。

こうした市場の催促もあり岸田政権は政策を修正しました。金融所得倍増計画などからなる資産運用立国の構想を打ち出し、新NISA制度の創設など金融所得増税とは正反対の税制優遇制度を創設しました。資産運用立国は企業のガバナンス改革など新しい資本主義の起点と位置付けられます。

石破総理も石破ショックを受けて政策をかなり大きく修正し始めました。具体的には、岸田政権の資産運用立国を継承して新しい資本主義を加速させ、「投資大国」を標ぼうする意向を示しました。この効果は大きく、株価は急落前、円相場も急上昇前の水準にまでわずか数日で戻しました。石破政権が総選挙に向けさらにどう政策を修正するか、期待感を持ちつつ見守るのが得策だと思います。

 

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