マングース絶滅

環境省は9月に奄美大島でマングースがほぼ絶滅したと発表しました。マングースは1970年代にハブの天敵として日本に連れて来られ、野に放たれました。しかし、実際にはハブより特別天然記念物のクロウサギなどを捕獲しエサとしました。つまり、毒蛇のハブの削減にはならない、天然記念物のクロウサギが減る、などの害をもたらしました。マングースにとっては迷惑千万な漫画のような実話です。この教訓は、直接的な関係性だけではなく、生態系(エコシステム)のシステム全体を見る必要性があるという事です。この教訓は経済政策や投資にも生かせます。

 

新総理誕生

日本では9月27日の自民党総裁選を経て、近いうちに新総理が誕生します。自民党総裁選と解散総選挙がセットになると、自民党総裁選の公約は、そのまま自民党の公約となります。そして、衆議院選挙に勝てば、一気に政策として実現する可能性が高まります。菅政権のデジタル庁創設や小泉政権の郵政民営化など通常の手続きを経たら3年はかかる法案が一気に実現したのと同じパターンです。

今回はこのパターンとなる可能性が高いと思います。決して自民党総裁を選出する自民党員による狭い選挙ではありません。衆議院選挙で自民党が下野しない限り、自民党総裁選での公約はシステム的に国家の方針になる点が重要なポイントです。

 

新総理の経済政策

故安倍元総理は対外的にタカ派な政策を進めました。日米集団的自衛権の確立や特定秘密保護法などです。一方、バランスを取って内政では労働者や女性の権利を優先する左派的な政策を進めました。残業時間の上限規制導入やイクメン制度など子育て支援策の拡充などです。

岸田総理の政策も基本的にはこの延長上にあったと思います。しかし、この弊害が人手不足の今になって目立っています。この状況での新総理の経済政策は、経済のサプライサイド強化、成長促進的な右派的な政策が正しいと思います。

具体的には、将来の電力不足に対応できるエネルギー政策、TSMCのような外資による対内直接投資促進、三号被保険者問題を含む個人の労働意欲を制約する労働規制や社会保険制度の緩和、上場企業のガバナンス改革の継続、出生率を引き上げるという意味で実効性のある少子化対策、などです。これらがまずは公約に入り、そして実現するかどうか、株式相場にも多大な影響を与えることになると思います。(脱稿9月11日)

 

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