最近、お米の値段が上がっていて、その原因は猛暑と考えられています。人間が暑さに弱いように農作物や家畜も弱いということなのでしょう。では、猛暑の原因は何なのか? 諸説ありますが、一般的には地球温暖化が原因だと見られています。そこで今回は、猛暑が経済に及ぼす影響について考えてみましょう。

 

物価の優等生「米」へも影響を及ぼす、猛暑の脅威

気象庁は5月下旬に6~8月期の3カ月予報を出しました。全国的に気温が平年より高くなる見通しで厳しい猛暑が予想されています。特に8月は全国的に全ての地域で平年より高くなる見通しです。また気象庁は、夏にかけて異常気象の一種である「ラニーニャ現象」が発生する可能性があり、その場合はさらなる猛烈な暑さになる恐れがあるとしています。

猛暑は経済に多大な影響を及ぼします。多少の猛暑なら経済にはプラスの影響を及ぼします。海水浴などレジャー消費の活発化、アイスクリームや清涼飲料水の販売増加などプラス面が多いからです。しかし、地球温暖化の影響が強まった近年の猛暑は違います。行政が外出を控えるよう呼びかけるほどなので、経済には悪影響が出ざるを得ません。

中でも心配なのが農作物への悪影響です。農作物には育つ適温があり、超えると不作になってしまいます。最近目立つのは米価の上昇です。主因は昨年の猛暑で不作だったことです。今年は作付けが増えており、値段が鎮静化することが期待されています。ここ数年の米価は、小麦価格が高騰した一方であまり上がらなかったことで、代替としても人気が高まっていました。しかし、長く物価の優等生だった米も、天候には勝てませんでした。

目を世界に転ずると、地球温暖化などの影響で気温が農作物が育つ適温を超え、不作になることで価格が高騰した例が多くあります。昨年来のオレンジに続いて今年に入りココア、コショウ、コーヒー、砂糖なども価格が高騰しました。

価格が上がると農家はその作物の作付けを増やそうとします。今年の米がこれに該当します。逆に価格が下がると、作付けを減らそうとします。こうすることで、価格は安定するのです。この行動が経済学の父アダム・スミスの言葉として有名な「見えざる手」なのです。

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