6月に政府の成長戦略が発表され、「骨太の方針」とその実行計画が公表されました。最近は少し注目度が下がっているため、知らない人も多いかもしれません。内容としては、賃上げを強化する方針がより明確になっており、給料が上がるということは皆さんにとってうれしいニュースと言えるでしょう。それでは今回は、この「骨太の方針」について説明していきます。
「賃上げ強化」が強調された、2024年の骨太の方針
政府は毎年6月ごろに「経済財政運営と改革の基本方針」、通称「骨太の方針」とその実行計画を閣議決定します。これらは政府の成長戦略とも呼ばれます。小泉政権の構造改革、安倍政権のアベノミクスもこうして実現されました。かつては、期待が大きく膨らんで株価を大きく持ち上げる材料になったこともありました。
しかし、岸田政権になって注目度は低下しました。岸田政権は、構造改革など従来型の経済成長では、格差や分断や地域社会の疲弊が進んだことから、方向転換を模索しました。そして「新しい資本主義」を掲げました。ただ、中身が何なのかあいまいなままでした。
2024年の骨太の方針は、「成長型の新たな経済ステージへの移行」を実現するため「デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンス」を生かして「社会課題解決をエンジンとした生産性向上と成長機会の拡大」とする方向性を示しました。実行計画では、人への投資、賃上げ、スタートアップ支援、労働市場改革、資産運用立国の推進を重視する方向性を示しました。政治資金の問題もあり目新しさに欠けた内容でしたが、賃上げを強化する方針は強調されています。
社会課題解決と経済成長には成長戦略の実行が不可避
社会課題解決と経済成長の同時解決を具体例で示しましょう。日本はどこも人手不足ですが、技術の力で克服することは可能です。例えば、ファミリーレストランです。入店して着席してQRコードをスマホで読み込み料理を注文すると、配膳ロボットが運んできます。会計もQRコードを使うと店員との接触なしで全てが済む仕組みです。
このような例を介護や医療の現場で導入すれば、社会課題解決と経済成長が同時に実現できます。
日本は少子高齢化や過疎化の進展により、社会課題という意味で世界最先端の課題先進国です。逆に言うと、課題が大きく解決を迫られています。ピンチの後にチャンスあり、となるかどうかは今後の成長戦略の実行計画の進捗(しんちょく)次第です。やはり成長戦略は重要なのです。
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