投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SMBC日興証券。

SMBC日興証券の投信売れ筋ランキングの2026年6月のトップは、前月と同様に「ベイリー・ギフォード世界成長企業戦略/SMT.LN外国投資証券ファンド 愛称:クロスオーバー・グロース」だった。同ファンドは6月1日時点で新規購入申し込み受付を6月5日までに停止すると予告し、前倒しで6月4日時点では受付を停止したため、実質3営業日程度の申し込みだったと考えられるが買付金額でトップの位置を占めた。第2位は前月第3位の「半導体関連 世界株式戦略ファンド 愛称:半導体革命」、第3位には前月第6位だった「日経225ノーロードオープン」が上がった。前月第2位だった「マテリアル・イノベーション戦略株式ファンド(為替ヘッジなし)愛称:素材革命」は第4位に後退し、第5位にはトップ10圏外から「成長戦略フォーカス・ジャパン」がランクインした。

※SMBC日興証券サイトの投資信託ランキング「買付金額4(総合コース)」に基づいて編集部作成。期間:2026年6月1日~6月30日。
https://fund2.smbcnikko.co.jp/smbc_nikko_hp/fund/main/index.aspx?F=rnk_sales_gnr

「スペースX」を上場前から組み入れたファンド

SMBC日興証券の売れ筋ランキングで6月にトップになった三菱UFJアセットマネジメントが設定する「クロスオーバー・グロース」は、未上場株にも投資するファンドで、6月12日に世界中の注目を集めてNASDAQに上場した「スペースX」を2026年3月末時点で19.3%という組入比率で保有するファンドだった。「スペースX」は公開価格(135ドル)から初値150ドルでスタートした後、3営業日目の6月16日には高値225.64ドルに急騰したものの、6月22日には154.60ドルに下落するなど乱高下になった。ファンドの基準価額は6月11日の1万2965円から、6月17日に1万3704円に上昇したものの、6月24日には1万2789円に下落するなど、「スペースX」の株価の動きに振り回されるような状態だった。ただ、6月末時点では過去1年間で43.47%という高いリターンを残している。

「クロスオーバー・グロース」には、今後に上場が予定されているTikTokを運営する「バイトダンス」、あるいは、AIのリーディングカンパニーの1社に数えられる「アンソロピック」なども保有しており、今後も楽しみな存在となりそうだ。

ただ、成長期待を感じても新規の募集が停止となってしまったため、「クロスオーバー・グロース」の次を探す動きが活発になったと考えられる。その矛先の1つになったと考えられるのが「半導体革命」(設定は三井住友トラスト・アセットマネジメント)だった。同ファンドは日本を含む世界の半導体関連銘柄に投資するファンドだ。半導体関連産業は、生成AIの普及に伴ってAI向け半導体で新たな成長ステージに入っている。今後も自動運転技術の進展に伴う関連半導体、また、デジタル化に伴う電力需要の増大を賄うためのパワー半導体といわれる省電力化を実現する半導体など、技術革新を伴ってさまざまな成長企業が誕生する土壌に恵まれている。

「半導体革命」ではエヌビディアやマイクロン・テクノロジーなどの超大型銘柄ではなく、大手企業などが参入しにくい「すきま的な市場」において高い存在感を有する「ニッチトップ企業」を中心に市場シェアの高い「リーダー企業」、そして、新たな市場を切り開く「新世代企業」などに投資。6月末時点で過去1年間のリターンが241.13%と驚異的なパフォーマンスを実現している。

官民で総額370兆円の「成長戦略」投資に期待

また、5月29日に新規設定されたばかりの「成長戦略フォーカス・ジャパン」(設定は三井住友DSアセットマネジメント)も候補の1つだろう。同ファンドは日本政府が掲げる日本成長戦略が示した「戦略17分野(AI・半導体、防衛産業、航空・宇宙、量子、創薬・先端医療など)」に着目して投資銘柄を厳選するファンドだ。6月30日に示された政府の「日本成長戦略」では2040年度までに官民で総額370兆円を超える投資を計画し、「政府が一歩前にでた大胆な投資の促進」という姿勢を示している。具体的な支援策が順次発表されることによって、関連業界の活性化が期待される。

国内株式市場は日経平均株価が7万円の大台に乗せた後に足踏み状態にある。今後、国内株式市場の一段の上昇には、企業成長の見通しが明確に見えてくることが必要だ。政府の後押しを得て動ける企業には、その支援策を足場に飛躍する期待も強まるだろう。規制緩和や環境整備、そして、大胆な投資など、官民の連携がどのようなシナジー効果となって関連企業の株価を押し上げていくものか、今後の動向に注目したい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩