投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、マネックス証券のデータをもとに解説。
マネックス証券の投信売れ筋ランキングの2026年6月のトップは前月と変わらずに「楽天日本株4.3倍ブル」だった。第2位には前月第4位だった「SBI 日本株4.3ブル」が上がり、前月第2位だった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)は第3位に、前月第3位だった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は第4位に後退した。また、トップ10圏外から「eMAXIS 日経半導体株インデックス」が第6位にランクインし、前月は第10位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」が第8位に上がった。
※マネックス証券サイト内「ランキング一覧」の「月間売れ筋」に基づき編集部作成。期間は2026年6月1日~6月30日。
https://fund.monex.co.jp/rankinglist#MonthlySales
「日経平均」のリターンは過去1年で「オルカン」「S&P500」の2倍!?
マネックス証券の売れ筋ランキングでは楽天投信投資顧問が設定する「楽天日本株4.3倍ブル」が2025年9月から10カ月連続でトップを維持し、SBIアセットマネジメントが設定する「SBI 日本株4.3ブル」も第2位になった。トップ2を国内株4.3倍ブル型のファンドが占めるのは、2026年3月以来3カ月ぶりのこと。また、トップ10圏外から第6位に「eMAXIS 日経半導体株インデックス」(設定は三菱UFJアセットマネジメント)がランクインし、前月第10位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」(同三菱UFJアセット)が第8位に上がるなど、国内株ファンドへの評価が高まっている。
これは、逆にいうと、外国株ファンドへの評価(期待)が下がっていることでもある。売れ筋トップ10に占める外国株ファンドは4本となり、6本になった国内株ファンドと占有率で逆転されてしまった。
2026年1月には外国株ファンドがトップ10に7本入っていたように、従来のランキングは「オルカン」(三菱UFJアセット)と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(三菱UFJアセット)を軸にした外国株式優位の状況だった。売れ筋トップ10における国内株ファンドの比率では2026年3月にも7本を国内株ファンドが占めるという状況もあったが、そのうち1本は「ベア型」という国内株が下落することに期待するファンドだった。今回は、その時と違い、日本株の上昇に期待するファンドのみが上がってきているのが特徴だ。
国内株に対する評価が高まったのは、一つには「日経平均株価」がパフォーマンスで外国株ファンドを圧倒していることがある。「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は6月末時点で過去6カ月のトータルリターンが40.23%、過去1年で75.73%だが、「オルカン」は6カ月で13.94%、1年で38.24%。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は6カ月で12.30%、1年で36.50%だった。「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」の際立つパフォーマンスが人気を呼び込んでいるといえるだろう。
歴史的な「円安」水準で、円安局面「ピークアウト」の判断!?
また、外国株投資で見逃せないのが、「為替」の影響だ。ドル円相場は、過去5年を振り返ると、2021年7月には1ドル=110円台だったところから現在の161円台まで、緩やかな円安・ドル高になってきた。一時的なものであれば、2022年10月の148円台から2023年1月の127円台への円高局面、2024年6月の160円台から24年9月の143円台への円高局面があったが、基調としての円安が続いてきた。その結果、たどり着いた現在の162円台は1986年以来の約40年ぶりの円安水準ということになった。40年以上前をみれば、1985年9月の「プラザ合意」(ドル高是正で日・米・英・仏・西独の先進5カ国が協調合意)直前の約242円という水準から一本調子の円高が進み、1995年4月の84円台に至っている。
現在のドル円相場は、歴史的な円安・ドル高水準になっている。今回の円安局面の起点といえる2012年1月の76円台の水準からみても、15年足らずで円の価値は2分の1以下になってしまった。現在、日本政府・日銀ともに一段の円安に対しては「介入」によって阻止する考えだ。日本経済にとっては円安に伴う輸入品の価格上昇(インフレ)は国内経済へのダメージが大きいという判断だ。また、米トランプ政権も政策金利の低め誘導などを通じてドル高是正を実現したいという考えを持っている。日米の政権が「ドル安・円高」で一致しているといえる。
現在の水準からドル円が一段と円安になることが難しいという環境では、外国株投資の魅力は半減する。従来は、「株価上昇期待」に加えて「(円安による)為替差益」があった。今後の円安が期待できないならば、外国株に期待できるのは「株価上昇」だけになる。そして、「株価上昇」の点では中長期で考えると日本株と外国株に大きな差はない。むしろ、外国株には「円高」による「為替差損」のリスクがあることがマイナス要因になっている。「外国株ファンド」から「国内株ファンド」への流れが進みそうな気配だが、どこまで進むものか、注目していきたい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

