金利が顕著に上がると経済に悪影響は出るのでしょうか。原則的には、金利の上昇は景気の押し下げ要因です。しかし「これから景気が悪くなる」というわけではなく、「景気の拡大ペースが減速する」イメージになります。金利上昇には、悪い影響だけでなく良い影響もあります。最も大きいのは、利息収入の増加です。

インフレ定着で実質金利はなおマイナス圏、住宅ローン・預金・株式投資に表れる金利上昇の影響

日本経済は長年のデフレから脱却して物価が上昇するインフレがほぼ定着しました。それに伴い金利も顕著に上がってきました。現在、日銀が決める政策金利は0.75%、代表的な長期金利である10年国債金利は2.7%前後です。今後を見ても将来の政策金利を取引する金融先物市場では、来年4~6月までには0.25%の利上げが3回行われて1.5%まで上昇することが織り込まれています。 

金利の上昇は原則的には景気の押し下げ要因です。これは個人なら消費を控えて貯蓄を増やす、企業なら借り入れを控えて投資を抑制する要因になるからです。 

そこで懸念されるのが金利上昇によって景気が急激に冷え込んで腰折れすることです。現実に過去には日銀の利上げが景気にショックを与え、利上げのすぐ後に景気が後退局面に入った例が少なからずあるのです。 

結論から言えば金利上昇で景気が腰折れする懸念は、今の局面では大きくはないと思われます。金利で重要なのは金利から物価上昇率を差し引いて計算できる実質金利です。その実質金利は、物価が上昇するインフレが定着したことで長くマイナスの状態が続いています。最近の代表的な物価であるGDP(国内総生産)デフレーターは3%を超えています。結果として昨今の金利の上昇を加味しても実質金利は当面はマイナスの範囲内です。この意味合いを日銀筋は「緩和の度合いの調整」と表現します。利上げなど金融引き締めを実施しても、まだ景気を押し上げる金融緩和の範囲内だという意味です。

金利上昇と一口に言っても各経済主体が受ける影響は大きく異なります。住宅ローンがあれば金利の上昇は支払い利息の増加としてデメリットになります。逆に預金からの受取利息は増加します。これは所得の増加と同じです。株式投資においては銀行や損保など金利上昇のメリットを受けるセクターが有利になります。逆に負債の多い不動産などのセクターにはデメリットとなります。 

個人も法人も金利上昇が当面は続くと想定して準備するのが得策だと思います。

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