投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、広島銀行。
広島銀行の投信売れ筋ランキング(窓口販売件数)の2026年6月のトップは前月同様に「世界経済インデックスファンド」だった。第2位には前月第3位の「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)『世界のベスト』」が上がり、前月第2位だった「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド『ポラリス』」は第3位に後退した。第4位には前月第9位だった「次世代米国代表株ファンド『メジャー・リーダー』」が上がり、第5位には前月第10位から「インデックスファンド225」がジャンプアップした。一方、前月第4位だった「インデックスファンドS&P500(アメリカ株式)」は第6位に後退し、前月第6位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は第8位に下がった。
※広島銀行サイトのファンドランキング、「販売件数(窓口)」に基づいて編集部作成。期間は2026年6月1日~6月30日。
https://www.wam.abic.co.jp/contents/C130169/wam3/1/pc/fundrnk.html?_com_id_product=1&_com_id_company=C130169&date=202607222250&date=202607222250&_biz_id_ranking=01&_biz_rankingseq=1&_com_id_screen=91505001&_com_id_session=02202607220400962025
「ポラリス」の失速は金価格の下落がきっかけ?
広島銀行の投信売れ筋(販売件数)ランキングでは2025年6月以来、「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド『ポラリス』」(設定はピクテ・ジャパン)がトップを維持してきたが、2026年5月から「世界経済インデックスファンド」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)がトップになり、「ポラリス」は第3位にまで後退した。「世界経済インデックスファンド」は「ポラリス」がトップに立つまでは、ランキングのトップを占めていたため、2025年6月にトップの座に上がった「ポラリス」の人気が約1年の継続の後に下火になってきたということだ。
「ポラリス」と「世界経済インデックスファンド」はともにバランス型ファンドだが、「ポラリス」は株式と債券以外に金(ゴールド)にも積極的に投資し、各資産への組入比率を柔軟に大胆に変更することが特徴だ。「世界経済インデックスファンド」は株式と債券への投資比率が半々であり、「国内」「先進国」「新興国」への配分比率をGDPの比率に応じて原則年1回見直している。「ポラリス」の人気が2025年に高まったのは、金の人気が急速に高まった時期と一致している。2023年にNY金先物価格は2000ドル近辺だったが、2024年には2500ドル台に乗せ、2025年には3000ドルを超えて年末には4000ドル台に乗せる上昇となった。この急速な価格上昇によって、それまでは「株式や債券とは異なる値動きをする資産」として分散投資先の1つに考えられていた金が、「積極的に値上がり益を追求する資産」の1つに組み入れられるようになった。
しかし、2026年になると金の価格上昇が止まる。1月29日にNY金先物市場で5354ドルの高値をつけて以来、徐々に下値を切り下げる動きになった。6月30日時点では4038ドルと4000ドルの大台を割り込む寸前まで下げ、7月16日には4000ドルを割り込んだ。この金価格の下落が、当然ながら「ポラリス」の人気に冷水をかける結果になる。それまでは、株式や債券とは異なる値動きをし、かつ、資産としての値上がり益も期待できる資産として金を評価していたところ、むしろマイナスの収益に落ち込んでしまった。このパフォーマンスの悪化は、金に単独で投資する「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(ピクテ・ジャパン)がトップ10の下位に沈み込んだことにも表れている。
このような「ポラリス」の経緯に対して、株式と債券に半々で投資するというシンプルな構造を持っている「世界経済インデックスファンド」は、着実なパフォーマンスを積み上げていた。2026年6月末時点で過去6カ月のリターンは、「ポラリス」が1.65%に対して「世界経済インデックスファンド」は10.64%だった。過去1年でも「ポラリス」の23.73%に対して28.37%と優位な成績になっている。3年以上の期間では「ポラリス」のパフォーマンスが上回っているものの、2026年2月以降の金価格下落の影響がマイナスに響いた「ポラリス」よりも、安定的に推移してきた「世界経済インデックス」の人気が上回るという結果になっている。

