2024年もあとわずか。証券業界ではこの時期、各社が翌年の経済予測を出すのが恒例行事ですが、2025年の予測は例年以上に難しいものとなっています。その原因は……言うまでもなく米トランプ次期大統領。交渉の手の内を明かさないことで定評のあるトランプ氏の大統領復帰で実際に何が起こるか、期待と不安が交錯している状況です。そんななか、米国と日本の経済成長見通しについて政治のファクターも絡めて解説していきます。
米国は3%台前半、日本は約1.0%の成長見通し
まず世界の経済情勢です。IMF(国際通貨基金)などの国際機関は3%台前半の安定した成長を見込んでいます。今年後半の流れが続くイメージです。ただ問題はリスクが多いことです。
2025年1月に米国大統領にトランプ氏が就任します。政策次第で世界経済は大きな下押し圧力を受ける可能性があります。具体的には、関税の引き上げ、不法移民の送還、さらには中東や東欧での紛争の行方、その余波で原油価格の動向です。もしこれらが顕在化すると、世界経済の成長率を1.0~1.5%押し下げる要因になると見られています。多くの先進国はマイナス成長に陥ると見られます。当然、株価も下落するリスクがあります。
次に日本です。25年度の経済成長率は約1.0%が大方の見方です。今年度が0.7%程度となりそうなので、少し良くなるイメージです。物価も沈静化が続く見込みです。今年度の消費者物価上昇率は前年比で2.5%程度ですが、来年度は1.9%程度となりそうです。
今年の日本経済は、数字の上ではまずまず良い状況でした。しかし、個人の肌感覚は芳しいものではありません。原因は、賃金が上がってもそれ以上に物価が上がったからです。結果的に個人の消費はさえないままでした。25年度は高い賃上げが継続する上に物価の沈静化が続くことから、個人消費の見通しはやや明るくなると思います。
日本では来年7月に参議院議員選挙があります。先の衆議院選挙で自公連立政権は過半数を割り込みました。それでも政治が一定の安定を維持したのは、参議院では自公連立政権が過半数を維持していたからです。野党としても強引な交渉は出来なかったのです。しかし、参議院選挙の結果次第では、政治が一気に流動化する可能性があります。
政治が流動化すると経済も大きな影響を受けます。野党の政策の中には与党より優れた提案も多くあります。政治の流動化が経済にプラスとなるかどうかが注目点になりそうです。
■関連リンク:
https://www.resona-am.co.jp/labo/amdays/20241216.html