「ねんきん定期便」に表示されている見込額でしか受け取れないと考えると、「これだけしか年金がないのか」と考え、収入面で不安を感じるかもしれません。しかし、実際はそれよりも多く受け取れることもあります。長く会社に勤務したことによって特例で多く受け取れた事例を紹介します。
長年勤務し続けた会社がまさかの倒産
浩司さんは11月に64歳になったばかりで、妻の早苗さん(58歳)と暮らしています。浩司さんは高校卒業後専門学校に進学しましたが、数カ月で中退し、19歳になる頃に今の会社に入社、それ以降ずっと長く同じ会社に勤務し続けていました。35年前に結婚して以来、浩司さんは会社員、早苗さんは専業主婦を続け、2人の子も無事成長して今では社会人になっています。
しかし、その勤務先は浩司さんが63歳になった頃に経営不振から倒産してしまい、そのまま会社はなくなることになりました。同時に職を失った浩司さん。「ここ数年は会社が危ないといううわさもあったけど、かつては堅実経営で評判だった会社が本当に倒産するなんて……」「65歳までは勤務する予定だったのにな」と人生の大半を過ごしてきた会社が突然なくなることに戸惑いを隠せません。
浩司さんは失業したことによって、失業給付(基本手当)を受け取れましたが、継続的な雇用が期待できる再就職先が見つからないままそれも終了です。失業給付が終わった後も単発アルバイトでのわずかな収入がある程度でした。
長らく専業主婦だった早苗さんはパートで働くことを決め、幸い勤務先も見つかって、家計を支えることになりました。