けがをした義父
「創志くん、ありがとう。これで老後の憂いはなくなったよ」
2度目のあいさつで、ゆくゆくは弁当屋を継ぐことを約束すると、義父は大喜びで何度も礼を言い、義母も創志を家族の一員として認めてくれたようだった。
両親のうれしそうな姿に、結子も安心したように笑っていた。
それからしばらくして、創志と結子は両家に祝福されてめでたく夫婦となった。一世一代の決断をした気分の創志だったが、実のところ結婚してすぐにどうこうという話ではなかった。
なぜなら60代になったばかりの義両親は、まだまだ現役。しばらくは東京で新婚生活を送りつつ、義実家へ帰省したときに店を手伝って、義両親から少しずつ仕事を教わる。
そういう話に落ち着いていた。
ところが、結婚後間もなくして、予想外の出来事が起こった。義父が配達中に転倒して腰を痛めてしまったのだ。
幸い大事には至らなかったが、長時間台所に立つことは困難になってしまった。
そこで創志は急きょではあったが約束の通り、東京での仕事を辞め、結子の実家の弁当屋を本格的に手伝うことになってしまったのだ。
●弁当屋を継ぐ決意をした創志、だが義実家はとんでもない秘密を抱えていた……。後編【「助け合うのは当然でしょ?」夫婦の貯金も家業の借金返済へ…義実家が隠していた「ヤバすぎる秘密」】にて、詳細をお届けします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。