結婚してもらえまえんか
店を出た2人は繁華街を抜けて駅までの道を歩く。まだ終電には時間があるのでみんな店のなかにいるのか、通りには人気はない。
夏はすっかり過ぎ去り、秋の涼やかな風が吹き、アルコールで火照ったからだを心地よくなでていく。
「何じっと見てるの? 恥ずかしいからやめてよ」
「結子」
「どうしたの、改まって」
創志は結子の隣りを歩きながら、深く息を吸う。何か計画をしていたわけではない。ただ無性に、結子とこれからもずっと一緒にいたいと思ったのだ。
「こんなところで言うのも、ムードがないって怒られるかもしれないんだけど、思ったから言うね。――僕と、結婚してもらえませんか」
2人は同時に立ち止まる。創志は全身の血が沸騰するような緊張感を感じていた。
「怒るわけないじゃん。よろしくお願いします」