収入だけでなく資産について語ったことで……
優子は、直樹の話を聞きながら、収入のことだけではなく、将来の資産についてしっかりとした展望を持っていることに感心した。しかも、「キャピタル世界株式ファンド」での積立は、積み立てた投資元本が210万円に対し、評価額は446万円になっていた。10年足らずで元本が2倍以上という成績だった。直樹は、これとは別に会社の確定拠出年金もあるということを優子に話した。
優子は、郵便局で定額貯金をして貯金を積み立て、ボーナスが出て余裕のある時に銀行に定期預金をしていた。預貯金はコツコツ積み立てて増やすものという意識はあったが、金利はつかないのが当たり前だったので、お金が運用で増えるというのは、まるで新しい話だった。
資産運用の話を聞いたことで、優子の直樹に対する評価は大きく変わった。これまで意識したことがなかった資産をつくるというポイントが加わったからだ。そして、資産のことを話したことがきっかけになって自然と2人の将来の住まい、2人の子供のことも意識するようになった。直樹の部屋に泊まった朝、優子は直樹が朝食の準備をすると言ってキッチンに立つ背中を見ながら、「結婚って、こういうことなんだ」と実感していた。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。