20代のギモンに答える

では、20代の人たちの多くが、年金についてモヤモヤしているギモンにお答えしたいと思います。

① 学生納付特例期間の保険料は、追納した方が良いの?

国民年金制度では、すべての国内居住者が20歳になると保険料を納付する義務を負います。しかし、年収128万円以下の学生であれば「学生納付特例」という保険料免除の制度を利用することができ、大学を卒業してから10年以内であれば保険料を遡って払えるという制度が追納です。

追納の場合は、納付期限からおおむね2年経つと金利分が上乗せになるのですが、もし毎月の保険料を1.7万円、2年間納付猶予を受けていたとして計算すると、トータルで約40万円の納付額になります。仮に1カ月分の保険料を納付すると、老齢基礎年金が年間で約1,600円(=780,900円×1月÷480月)増えますので、2年分を納付すると年間で約38,000円ほど増える計算になります。

保険料を追納することで将来の年金額に確実にプラスになりますので、期限が近づいてきてから慌てることのないように、計画的に追納の準備をするのが良さそうです。

② 将来、年金はもらえるの?

年金制度は、これまでも時代の変化に合わせて制度の見直しが行われてきました。老齢基礎年金の原資には税金が投入されており、平成21年3月までは1/3を国庫が負担していましたが、平成21年4月以降は1/2の国庫負担となりました。つまり、ざっくり年金の半分は、税金でカバーしているということになります。

政府は、会社員と専業主婦のモデルケースで、現役世代の手取り賃金に対して50%を超える水準の年金額を支給できるように制度を維持しようとしています。それを検証するのが今年発表される財政検証です。検証結果いかんにかかわらず、将来、年金制度自体が無くなってしまうということはないと思いますし、将来も年金は老後生活の収入源となることは間違いないはずです。

ただ、少子高齢化が進む上、物価上昇が続いている中においては、自助努力は必要になってくると思います。個人型確定拠出年金(iDeCo)などの制度を上手に活用して、今のうちから準備されることをお勧めします。

この「社会保険シリーズ」では、今後、年代別に知っておきたい社会保険制度の概要を解説し、その後はさらにその中身を深掘りしていきたいと思います。

(執筆:花村 泰廣)

●2024年7月に厚生労働省から公表された「財政検証」。検証結果については、次回の記事「公的年金の“健康状態”は大丈夫? 2024年「財政検証」の結果と注目ポイントを解説」で詳説します。

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