カフェ経営が軌道に乗ると今度は夫婦の関係性が悪化する

結局前夫とは2人の子どもをもうけた後に離婚することになるわけですから、後から考えれば母の指摘は的を射たものだったのかもしれません。

私は長男の希が幼稚園に上がった頃からママ友とカフェを開業し、今では都内に4店舗を展開しています。カフェの経営が軌道に乗ると多忙になり、家族、特に前夫のことを顧みる余裕がなくなっていきました。

肩書上は義父の会社の役員でも実質何の権限も与えられていなかった前夫には、自分の支配下にあったはずの私が、ちっぽけなカフェであろうと経営者として成功を収めることが許せなかったのだろうと思います。

結局10年前に離婚し、当時小学5年生だった長男の希は夫の元に残し、中学生の長女の未来と暮らし始めました。

未来の頑固で融通の利かない性格は母に瓜二つで、私はせっかく母の呪縛から逃れたにもかかわらず、子育てを通してまたあの息苦しさを感じるようになっていました。しかし、未来の方は平然としたもので、大学入学後も家を出ていく様子はなく、今春からは大学院で学んでいます。

そんな時、突然、音信不通だった兄から手紙が届いたのです。そこには、「母さんが亡くなった。話したいことがあるので一度会わないか」と書いてありました。

手紙にあった兄のアドレスにメールを送るとすぐに返信があり、その週末に兄が上京することになりました。25年ぶりの再会だったにもかかわらず、お互いの近況を語り合うのもそこそこに兄が切り出したのが、母が残した遺産と、私宛ての手紙に関する話でした。