<前編のあらすじ>

内村香苗さん(仮名・47歳)は昔から母親との相性の悪さに悩んできました。頑固で自分の考えを絶対に曲げない母親と一緒にいることが窮屈で、その関係性は社会人になっても一向に変わりませんでした。

そして25年前、母親から結婚に反対されたことをきっかけに大げんかに発展。家を飛び出し、強引に関係を断ちました。

上京後、内村さんは前夫と結婚して2人の子どもに恵まれますが、結婚生活は15年で終了。離婚後は娘と2人で暮らしています。こうした状況の中、夏に音信不通だった兄から手紙が届き、母親が亡くなったことを知らされました。

●前編:「今すぐ出ていきなさい」頑固な母親と結婚をめぐり大げんか…25年後、娘の元へ届いた“1通の手紙”

結婚に反対されて大げんかに発展

25年前のコスモスが満開の季節、結婚に反対されて母と言い争いになり、売り言葉に買い言葉で家を出ました。そのまま上京して前夫と結婚し、15年後に離婚した後も一度も実家の敷居をまたぐことはなく、仲の良かった3歳上の兄とも連絡すら取っていませんでした。

実家は父が単身赴任先の北九州で愛人と暮らしていて、地元の給食センターで働く母が家長的な存在でした。持ち家だったとはいえ父からの仕送りはわずかなもので、兄が高校を卒業して市役所で働き出すまで実質、母の収入で生活していたようなものです。

コミュ障気味で、頑固で融通が利かない母との相性は最悪でした。ですから都内の短大を卒業した後はそのまま東京にとどまるつもりだったのに、母が断固として許さず、地元の建設会社に就職していたのです。しかし、母と結婚した兄一家との生活は私にとって苦行以外の何物でもありませんでした。

短大時代に合コンで知り合った前夫の父親は都内で家具のチェーン店を経営していました。前夫は次男で跡継ぎでも何でもなかったのですが、母からは「お前みたいな田舎娘に、いいとこのお坊ちゃんの嫁なんて務まらない」と言われました。