継続が何よりの薬

こうして再開したランニングだが、優太は本当に無理をせずやってくれている。おかげで、以前とは違い血色の良い表情をしていた。いつものように走り終えて、家に帰ると、優太が笑顔で声をかけてきた。

「明日さ、焼き肉食いに行かない? さっき、焼き肉屋の前を走ったら、いい匂いがしてきたから、久しぶりに食べたくなってさ」

水咲は心の中でへえ、と思いながら、うなずく。

「いいね。久しぶりに思いっきり食べようよ」

水咲が答えると、優太は心底うれしそうに目尻を垂らす。

「よっしゃ、久しぶりの焼き肉だなぁ。明日は仕事、早めに終わらせて帰ってくるから」

優太は声を弾ませながら、家の中に入っていった。うれしそうな優太を見て、水咲は思わず吹き出してしまう。

ほんと、子供みたいだ。でも、そんな優太の笑った顔をいつまでも見ていたいとも思った。

複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。