運動の「ある効果」
4週間がたち、ようやく優太のギプスが取れる。まだ違和感はあるようだったが、それでもいつもの日常が戻ってきた感覚がある。
運動ができていなかった分、2人はいろいろと調べて肉中心から野菜と魚を中心にした料理をよく食べるようになっていた。そのおかげで、4週間、運動は全くしていないにも関わらず、優太の見た目はすっきりしたように見える。
「やっぱり食事っていうのは偉大だな。あんなに無理して脂肪を燃やそうとしていたのは何だったんだ」
優太はギプスの外れた右手でおいしそうにご飯を食べている。
「脂肪も体重ももちろん気になるけど、むくみも見た目にはけっこう関わってくるんだよね」
「ふーん、そういうもんなのか」
優太はみそ汁を飲んでいた顔を上げ、思い出したように箸を置いた。
「あ、あのさ、また、ランニング、やらないか?」
「え? だって、体重は減ってるんだよ?」
水咲は驚いて、聞き返した。
「いや、体重は別にいいんだ。でもさ、何かランニングをした後、すごく気持ちが良かったんだよね。仕事で嫌な事があっても、走り終わったら、胸が軽くなってるっていうかさ」
話を聞く限り、優太はダイエットのために始めたランニングで、ランニング自体の楽しみを知ってしまったらしい。水咲は目を細める。
「やり過ぎないって約束する?」
「あ、ああ、もちろんだ。週に1回でいいんだ。もちろん、サウナースーツは着ないし」
優太の話を聞き、水咲はランニングの再会を許可した。もちろん、水咲も一緒に走ることが条件で。