リバウンドが怖くてやめられなくなった
水咲は、点滴を打ち、ベッドで目を覚ました優太に医者から言われた言葉を伝えた。優太は手のギプスを見て、ため息をついた。
「そうか、やり過ぎてたんだな……」
「うん、ゴメンね、私が止めれば良かったんだけど」
優太はゆっくりと顔を横に振る。
「いや、悪いのは俺だよ。悪かったな、心配をかけて。何か、体重がどんどん痩せていってるのが楽しかったんだよ」
「それは、何となく伝わってきてた」
「だからこそな、痩せにくくなってきて、本当に怖くなったんだ」
水咲は眉をひそめた。
「怖く?」
「ああ、これでまた諦めて、昔みたいにだらしのない生活をして、リバウンドするんじゃないかってさ」
「そんなこと思ってたの?」
優太は照れくさそうに笑った。
「意志の弱さは自覚しているから。目に見える結果が見えないと続けられないと思ったんだ。だからもっと厳しくしなくちゃと思って、食事制限をして、サウナスーツまで着てさ。なのに、この様だよ」
「糖質制限自体は悪くないんだけど、ここ最近さ、優太、全く取らないようにしてたでしょ? あれもダメみたい。やっぱり糖質も大事なエネルギー源だから、ある程度は食べた方が良いんだって」
けがまでしたことがよほど堪えたのか、優太は何度もうなずいていた。
「なるほどな。俺さ、ここ最近、ずっと頭がふわふわして回らない感じがあったんだ。それはきっと栄養が足りてないからだったんだろうな」
「うん、だから、制限をするにもやっぱりきちんと調べて、やったほうがいいよ。完全に断とうとしたのがよくなかったみたい」
「だな。今回のことで思い知ったよ」
優太はギプスのついた腕を軽く振った。
「これくらいで済んで良かったと思わないとな」