何かにつけ、義姉と比べてくる義母

『ちなみにね、曜子さんからもお中元が贈られてきてね』

「ああ、そうですか」

『私の生まれ年の焼酎を送ってきてくれたの。私がお酒好きだっていうのを知っててくれたみたい。世間ではねヴィンテージ焼酎って呼ばれてるみたいで、お値段も結構するみたいなの。なんだか気を遣わせちゃって申し訳なくってねぇ』

「ウイスキーですか。さ、さすがお義姉(ねえ)さんですね」

佑香は何とか称賛の声を絞り出しながら、そういうことかと納得する。つまるところ美恵子は、もらったお中元をだしにして、兄嫁である曜子と佑香のことを比べるために電話をかけてきたのだ。

『ほんと、曜子さんって何から何までできるすてきな人だわ。俊之もあんなすてきな奥さんもらえて、幸せ者よね。誰かさんとは大違いだわ』

「はは……」

佑香には愛想笑いを浮かべることしかできなかった。電話を切った佑香はリビングでゴルフを見ている潤一に、美恵子から電話があったことを伝えた。

「なんだって?」

「イヤミよイヤミ。お中元、安物のアイスなんて送りつけやがってって言いたかったみたい」

「ええっ、そんなこと言ってたんだ……」

潤一はばつ悪そうに髪をかいている。

「お義姉(ねえ)さんは高い焼酎を送ったんだって。ただ高級品を送ればいいなら、そうするっての」

「まあまあ。母さん、酒好きだから」

潤一は温和な性格をしている。その優しさに助けられてきたことは事実だが、こういうときに味方になってくれないのは不満だった。

「来月はお盆で帰省しなきゃいけないんでしょ? あーあ、また嫌みを言われるわよ」

「さすがに母さんもそんなことしないって。別に去年とかも何もなかったじゃないか」

「私が何もない感じで接してたから気付かなかっただけでしょ?」

佑香はため息を吐いた。潤一は眉尻を下げて笑っていた。

「今年はちゃんと私の味方になってよね?」

佑香がそう問うと、潤一は曖昧に頭を揺らす。うなずいているともかわしているともとれる微妙な反応だった。