年金時効特例法により22年前までさかのぼれた

新たに判明した、宏隆さんの厚生年金加入期間4カ月分の年金額は、年間2万円程度の年金です。しかし、これは宏隆さんの受給する権利が発生した60歳までさかのぼることになります。

通常年金の時効は5年で、過去5年までさかのぼって支給されます。ただし、年金時効特例法により、記録の訂正による年金額改定の場合は5年の時効よりも前にもさかのぼって支給されることになっています。

そのため、宏隆さんの場合は22年前の60歳までさかのぼることになり、4カ月分増えた記録で計算された22年分の未支給年金となります。

職員から「そのさかのぼって受け取れる年金の詳しい金額はここでは申し上げられませんが、数十万円にはなると考えられます」と言われます。年間2万円程度でも22年分、しかも特例制度による遅延特別加算金も加わることになると、かなりの額になるでしょう。

記録の確認が大事

このように受給していた本人にもらい忘れた年金があるまま亡くなってしまうと、遺族に支給されることになります。今回の健太さんの場合は、故人の勤務先を思い出せたことから、本人に代わってもらい忘れの年金を受け取れました。

しかし、通常、本人でも加入記録が分からず、もらい忘れに気が付かないと、その家族はさらに状況の把握が難しいことでしょう。その記録は持ち主不明のまま半永久的に宙に浮いた状態になってしまうこともあります。

自分自身で掛けた年金は存命のうちに自分で全て受給するのが一番です。もらい忘れを防ぐためには記録はしっかり確認しておき、記録について気になったことは年金事務所等で相談の上で記録の調査などを依頼しましょう。

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