自動移換者数の改善にはさらなる対応が必要
図表:新規自動移換者の推移(2019~2023年度)
自動移換とは、企業型DCのある会社から転退職する際に、6カ月以内にiDeCoや転職先の企業型DCに資産を移換する手続きをしないと、自動的に現金化されて国民年金基金連合会に資産が移換されること。直近5年間で見ても、申出なし移換※が施行された18年を除き、毎年同じような推移で状況の改善はみられません。
※申出なし移換…転退職後6カ月以内までに移換手続きがなかった場合に、企業型DCの加入者資格もしくはiDeCoの加入者・運用指図者資格の取得が登録情報で突合できれば本人の申し出なしでも当該DCに自動で移換が行われること。
この点については「さらなる改善には制度的な対応が必要と考えています」と正野部長。
国民年金基金連合会へ自動移換された管理資産総額は3000億円を突破すると見られます(2024年度決算見込み)。
自動移換になると運用ができず、管理手数料もかかります。ただし、自動移換になった場合でもiDeCo等に手続きをすれば 運用を再開できるので、該当する人は早めに対処する必要があります。転職率が高まる昨今、適切な移換手続きの周知と実行が不可欠です。
24年12月には、よりiDeCoに加入しやすくなる制度改正も行われます。これまで会社員がiDeCoに加入するには会社の証明書(事業主証明書)が必要でしたが、これが関係機関とのデータ連携の強化により廃止になります。
企業側にもメリットがあり、年1回必要だった届け出が不要となるため事務負担が減ります。加入者にとっても会社による紙の証明書が必要なくなったことで、オンライン申込がしやすくなるなど利便性が向上します。
掛金上限額の拡大やデジタル化など、多様な取り組みでさらに使いやすくなるiDeCo。今後ますますの進化が期待されます。