iDeCoのオンライン加入は昨年比約3倍の勢い
これまでにもiDeCoではさまざまな電子化で利便性が向上しています。例えば申込加入手続きのオンライン化は21年から始まっています。iDeCoの運営管理機関(取扱金融機関)は現在150 を超えますが、うち34の運営管理機関でネット申込が可能です(24年4月時点)。
「オンラインによる加入申請状況は13.6%(23年4月)から36.1%(24年4月)に3倍近く増加しており、成果も出てきています」と正野部長(下表参照)。
電子申請による加入状況(2024年4月分)
新規加入者 | 14,102人(36.1%) | 新規運用指図者 | 5,722人(33.4%) |
※カッコ内は電子申請率
iDeCoでは加入手続きのほか、確定申告などに必要な小規模企業共済等掛金控除証明書の電子交付も既に可能です。さらに住所変更や掛金額の変更など手続きもオンラインで行えるようシステム開発に着手しており、2025年末サービス提供をめどに取り組みが進んでいます。この諸変更手続きのオンライン化にはマイナポータルを活用するため、個々の運営管理機関のシステム構築の負担も軽減できる見込みです。より多くの運営管理機関のデジタル化が進めば、加入者の利便性はさらに増すことになります。
マイナポータルを活用したデジタル化の取り組みはさらに続きます。前述したiDeCoに掛けられる金額などを含めた個人ごとの詳細についても、将来的にオンラインで可視化できるよう検討を進めています。
4月末のiDeCo新規加入者数は昨年並み、第1号加入者は32%増
直近のiDeCo加入者数の現状はどうなっているのでしょうか。
図表:新規加入者の推移(全体)(2024年4月)
2024年4月末のiDeCoの新規加入者数は3万9065人(対前年同月比99.9%)。中でも第1号加入者が5754人(同132.6%)、第2号加入者が3万1337人(同94.9%)、第3号加入者が1586人(同114.0%)などとなっています。
さらに注目すべきがiDeCo+(中小事業主掛金納付制度、イデコプラス)の状況です。「24年4月の実施事業所数は対前年同月比で124.3%。恒常的に20%程度増えています」(正野部長)。
iDeCo+は従業員本人がiDeCoに加入し、追加で事業主からも掛金を拠出する制度。実施事業所数は7602に上り、拠出対象者は4万8423人と着実に増加を続けています。
新規加入者の傾向を直近5年間(19年~23年)で振り返ると、20年~22年はコロナ禍であり、かつ22年10月には企業型確定拠出年金(DC)の加入者がiDeCoに加入しやすくなるなどの出来事がありました。「2022年10月~12月のあたりはやはり加入者数が増えているんですね」とグラフを示す正野部長。コロナ禍の巣ごもり需要もあり、20年~22年度は年間加入者数がそれぞれ昨対比で増加、特に22年10月は前述の加入できる条件が広がったため前月比で約1万人も増加。中でも企業年金のある第2号加入者数増の影響が顕著でした。