DB加入会社員、公務員のiDeCo掛金上限額がアップ

2024年6月現在、確定給付企業年金(DB)に加入する会社員や公務員のiDeCo掛金上限は一律で月額1.2万円。これがどう変わるのでしょうか。

「24年12月施行の改正で最大月額2万円までiDeCoに拠出できるようになります」と国民年金基金連合会・確定拠出年金部の正野直子部長。
 

出所:厚生労働省

現在、勤め先の会社が確定給付型企業年金(DB)と確定拠出型企業年金(DC)と2つの制度を導入している場合、DBの掛金を一律2.75万円とみなし、残りの2.75万円がDCの掛金限度額となっています。全体では最大合計5.5万円となります。

しかし実際に企業が支払っているDBの掛金平均額は1万3691円。一律2.75万円としたDBの掛金相当額の半分ほどしか活用されておらず、さらに企業間でも金額に差があることが分かりました。そこで、これまで一律だったDBの掛金相当額を、個々の企業の掛金実態に即して算出し、一律2.75万円との間に差額があれば、DCやiDeCo分として活用できるようになるのが改正の趣旨です。

つまり、全体の5.5万円の限度額から各企業のDB掛金額を差し引いて、次にDCの掛金額を引いた残りの額をiDeCoの掛金(最大2万円)として出せることになります。DBに加入する会社員や公務員の多くにとって、掛金上限額が上がるメリットがもたらされるのです。

一方でiDeCo加入者の利便性には課題も生じます。今までは加入資格によって上限額が一律で決まっていたため、iDeCoへ加入できるかどうかや掛けられる金額についてすぐに知ることができました。今後はDBの掛金額とDCの掛金額を合算しないと各自の正確な額が分からないため、スピード感や利便性にはやや難ありと言えなくもありません。加入者ごとにDC掛金額を最大限使い切れるようになるメリットの反面とは言えますが、この点についてはデジタル化に解決策がありそうです。