47歳、初めての自立

無事に紹介されたスーパーでパートを始めた美香はアパートを借りた。

47歳にして初めて自立をしたのだ。

立ちっぱなしでレジを打ち、接客を行う。肉体的にも精神的にも美香は感じたことのない疲れを覚えた。

これで1時間、1200円。こんな額は違法だと思った。美香はすぐにネットで最低賃金を調べた。するともらっている時給は最低賃金をわずかに超える額だった。美香はその現実にがくぜんとした。

月末になり美香はコンビニのATMに向かい、振り込まれた給料を確認する。15万という数字。それは1カ月間、死ぬ気で働いた報酬だった。

自分にはこれだけの価値しかないと言われたようだった。

しかしくよくよしている暇はない。美香はこれもいい経験だと割り切ることにした。庶民の生活をサバイバルしながら、生き抜いてやるのだ。

複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。