<前編のあらすじ>

元カレの諒太は投資系YouTuberでした。以前はチャラい遊び人風だったのに、コロナ禍で投資にのめり込んでから別人のようになりました。

生活費を切り詰め、終業後や週末にバイトをしてまで毎月10万円を投資していたのです。それ自体は悪いことではないのかもしれませんが、嫌だったのは、自分と同じように投資することを私にも強制したことです。

諒太との交際期間は7年になり結婚も視野に入れていました。けれど、すっかり変わってしまった諒太とは会うたびにけんかが絶えなくなり、私の方から別れを告げました。

それ以来、私はすっかり投資嫌いになりました。諒太に無理強いされて積み立て購入していた投資信託は全て解約し、昨年の秋ごろから盛り上がる新NISA(少額投資非課税制度)のニュースやイベントなどからも極力距離を置いてきました。

●前編:【結婚目前で対立…「何が楽しいの?」女性が呆れた交際相手の「過剰な自己投資」】

FP久保田さんとの出会い

そんな時、会社の同僚の理名からファイナンシャルプランナー(FP)の久保田さんのオフ会に誘われたのです。

証券会社の営業職出身の久保田さんは、20~30代のビジネスウーマンを対象に「女子力&投資力アップ」を目指すオンライン勉強会を開催していました。広報部の理名は確定拠出年金(DC)をテーマにした社内報の取材で久保田さんと知り合い、1年ほど前からオンライン勉強会に出席していたようです。

オフ会は久保田さんの証券会社時代の後輩だった女性がオープンしたばかりのビーガン(動物性や動物由来の食品を排除した完全菜食)レストランでした。

参加者は20名ほど。私や理名を含めて本格的なビーガンメニューは初めてという人が多かったのですが、本物の肉としか思えない大豆ミートのミートローフや、雑穀と野菜のパエリアなど出てくる料理一つひとつが本当においしくて、皆で盛り上がりました。

その日、久保田さんは企業の成長ストーリーという観点から株式の発行、株価対策、株主対策などの話をしてくれました。EV(電気自動車)や半導体など今まさに世界を動かしているテーマとそれに関連する国内外の企業の話はなかなか興味深く、投資の話を避けてきた私にも理解しやすいものでした。